日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「はっきり」させたい言葉たち

 

詩人・中桐雅夫さんの『嫌なことば』という作品が大好きだ。気に入らない言葉遣いを並べて罵倒する。<何という嫌なことばだ、「生きざま」とは>。理由として、「生きざま」というのは本来「死にざま」から出たものだから・・・と。

<「やっぱし」とか「ぴったし」とかにも虫酸が走る>。<政治家の「前向きで」など、使用禁止は当然だ>とも。評論家の「ある意味では」では、どんな意味でかを、はっきり書くように・・・。実に小気味がよい。

AI(人工知能)がブームになり、どこでも使われる。また、AIの“頭脳”を支えるのは、膨大なビッグデータだとも。中桐雅夫さんがご存命なら、「AI」と「ビッグデータ」も“嫌なことば”の仲間入りをしそうだ。漠然としてわかりにくい。

そもそも、ビッグデータとの言葉に(はっきりとした)定義がなく、IT企業の人すら、実態がよくわからないらしい。

 

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日本では、2012年頃からビッグデータという言葉がはやり始めたという。当時は、従来の技術では管理困難な大量のデータという程度の漠然とした捉え方であった。

今では、購買履歴、監視カメラやセンサーの情報、インターネットの文字情報など、様々の(膨大な)データのことをさすようになっている。それ以前、この種のデータは捨てられていたとのこと。それを捨てないでためてみようということになり、集めて分析することで、何かお宝が隠れているのでは? との流れになっている。

まず、膨大なデータを分析すると、大きな流れや動向が見えることがわかってきた。漠然と“こうではないか”と思っていたことが、はっきりと数値で見えるようになってくるのだ。

ビッグデータは市場分析に使われることが多い。スーパー、量販店、コンビニエンスストアなどで買い物をした時に客がポイントカードを出す。そこには個人の購買履歴のデータが納まっているのだ。

 

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個人からのデータが多ければ多いほど、ビッグデータとしての価値は高まる。男女、年代、地域などの属性に合わせて効率的な品ぞろえができ、グループ企業間でデータを共有すれば、さらに利用濃度が強まる。

データが価値を生み出すということを、アマゾンやグーグルなどの企業は、早い段階に発見して活かしてきた。ヤフーなどで検索された言葉をもとに、新商品などがどこで流行しそうかも、分析することができる。

データは「金の鉱脈」みたいなもの。それを持つ者と、持たざる者の格差はどんどん広がる。また、データの質に対する感度も大切になる。

必要な項目が入っているかどうかを見極めて、どれぐらい大量に収集できるかで大きな分かれ目になる。次の行動はそれをもとににどうつなげるか・・・。

<「どんな意味でかを、はっきり書くように…」と生きていてどれほどのことができるのでもないが、死ぬまでせめて、ことばを大切にしていよう>。『嫌なことば』の締めの言葉である。「言葉」も何よりのデータである。