日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

断られた時から始まるはずが

 

1964年に初版の『販売は断られた時から始まる』(E.G.レターマンさん)という書籍は、営業マンのバイブルといわれベスト&ロングセラーになった。私も熟読している。

飛び込み営業の経験がある。何度も何度も声をかけても断られる。その度に話しかけるタイミングやトークを変えたり、工夫を重ねる。

まずは声をかけてみなければ始まらない。下手な鉄砲は数撃たなければ当たらないからだ。<私を待ってる人がいる・・♪>。かつてのヒット曲のフレーズをこころの中でハミングしながら、新たな出会いを楽しむ。確率は低くとも、実際に待ってくれている人はいる。

丁寧な言葉遣いや声かけはサービスの基本とされているが、最近は“おもてなし”の形が少しずつ変わってきているらしい。「話しかけない接客」が広がるという。

  

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以前、京都のタクシー会社が“話しかけない接客”を試みている、と書いたことがある。同様の接客を取り入れる衣料品店や美容院なども登場している。

衣料品を買う時、もっぱらネット通販を利用する消費者の中には、店員に話しかけられるのが嫌だ、という方もいるようだ。

<服を買う時、そっとしておいてほしいと感じたことがある?>。

一昨年、あるニュースサイトで全国の男女1500人を対象に行ったアンケートで、「はい」と答えた人は8割を超えたという。

また、予約の際に“楽しく話したい”か“静かに過ごしたい”が選べる美容院の検索予約サイトで、8年前に「静かに過ごしたい」を選択した人は約15%だったが、現在40%を超えている。

 

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時代の変化として、コンビニやファストファッション店の利用が日常化し、店員とほぼ話さず買い物するスタイルが定着している。たしかに、仕事を通じての接客で挨拶など声をかけても、声をかけてほしくないようなオーラを感じさせる人は増えている。それも若者とかではなく、それぞれの年代においてである。

従来は話をしていた分野にもそれが広がりつつあるようだ。スマホで商品情報の収集が容易になり、店員の助言を必要としない人は多い。

タクシー運転手や美容師と会話を楽しんでいた“手持ちぶさた”の時間も、今はスマホを操作しながらの「自分の大切な時間」になっている。

そういうことでも、接客の形は多様化している。目的に応じてサービスを使い分け、接客には、声をかけるかどうかの見極めも含まれる。

「おはようございます」、「こんにちは」などと声をかけられて、いやな気分になる人はいない、と信じていたが、(今は)迷惑がる人がたしかに存在する。最近、そういう人には挨拶も省くように試してはいるが。

「話しかけない接客」とは、(きめ細かなサービスが得手の)日本ならではの現象でもあるということなのだろうか。