日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

自然の中に超えた何かがある

 

衣服関係の言葉は栄枯盛衰が激しいようだ。今でも愛用している“Gパン”はジーンズになり、最近はデニムと名を変えているとか。

セーターなどの“とっくり”はタートルで、“チョッキ”がベスト。アクション映画やドラマで出てくる“防弾チョッキ”などは、防弾ベストの名になっているのだろうか。

最近、お気に入りのベルトを2本購入したが、“バンド”と呼ぶ方が馴染みやすい。“ズック”はスニーカー。とくれば、“バッシュ”はいかがなものかとネット検索をしてみると、(バスケットシューズともども)昔の名前でがんばっているようだ。

名が変われど、昔のままの商品は落ち着ける。しかし、昔あったのに今はもう得られないものだと感慨深くなる。

 

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昆虫少年であった作家・北杜夫さんは、珍種を含む標本を100箱以上所有していた。中学生のときに、空襲で自宅が焼けたという。その際、標本ではなく虫ピンの箱を抱いて避難した。

標本は灰になったが、自然も昆虫もふんだんにあった時代で、虫ピンのほうが貴重に思えたそうだ。

<戦後になって私は何百回となく愚痴をこぼした>と悔やんだ。(『どくとるマンボウ青春記』より)。身の回りにあったときは意識せず、なくして初めて“宝物”と気づくものがある。

1913年(大正2年)の夏、志賀直哉さんは山手線の電車にはねられ重傷を負った。養生のため訪れた兵庫県城崎温泉で名作『城の崎にて』が生まれた。

「自分は死ぬ筈だつたのを助かつた、何かが自分を殺さなかつた・・・」。死と隣り合う生を見つめて書かれた作品である。

 

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志賀直哉さんは、<神にであれ、仏にであれ、“何か”にであれ、「生かされている」という自覚>というものを持った。それは人間の力を超える“何か”だと感じたらしい。

<自然のなかに人間の力を超えた何かを感じることがあるか?>。新聞社が行った10年前の世論調査では56%の人が「ある」と答えていた。

地球46億年の歴史で、人類が存在できている時間は微々たるものだ。その間にそれぞれの寿命を与えられた人類が、生まれて死んでいく。

歴史上の人物だけが特別でもなんでもない。それを思えば時空間を超えて親しみも感じる。

膨大な数字はお金の単位にしてみるとわかりやすいという。1年という時間を1円に換算してみると、46億円のうちで70円や80円がそれぞれの人の持ち金になる。たとえば坂本龍馬は31円だった。それにしては、インパクトのすごい人であったが。