日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

身軽になるには持たないこと

 

ナルシシズムなる言葉の生みの親は心理学の祖・フロイトらしい。陶酔、自己愛がすぎて周りが見えなくなる精神状態のことだ。

一昨年、無料アプリ「NHKプロフェッショナル 私の流儀」が流行り、公開から約1か月で100万ダウンロードを突破したという。サイトには“2017年12月31日24時をもって配信を終了”とあったので、残念ながら今は落とせないらしい。

NHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』の主人公になりきった動画を、簡単に作成できるというこのアプリも、ナルシシズムのこころをくすぐるものなのだろうか。

作成した動画は、自分のスマホなどに保存するだけではなく、NHKの番組特設サイト「みんなの流儀図鑑」に投稿できるそうな。

 

2019

 

ソニーを“モルモット企業”と呼んだのは評論家・大宅壮一さんであった。業界に先駆けて新しいことに手をつけても、それはほかの大企業が乗り出す前の実験のようなもので、
しょせんはモルモットにすぎないと斬り捨てた。

しかし、ソニーの創業者・井深大さんは一枚上手で、これを聞いて喜んだ。モルモットはひとマネをしない“ソニー・スピリット”の象徴なのだから・・・と。ポジティブ思考への架け橋となるナルシシズムは大したものである。消費者たちはソニーの新しい商品を待ちわびて、ヒット商品が連発した。

<精神の疲労はアルコールを求め、肉体の疲労は甘味を求める>。作家・開高健さんはエッセイに記した。何の業種であれ、仕事に疲労はつきものである。

水に物質が溶ける性質である“水溶性”にならえば、人それぞれ、疲労にも“酒溶性”や“糖溶性”の種類があるようだ。そして、かつては“新製品溶性”のシェアも大きかった。

 

2020

 

今はモノの“所有”から“使用”へ転換との時代だといわれる。モノを手に入れても、使う時間や場所を確保する方が難しい。自分の子どもたちをみても、それぞれ車を持っていたが今は手放して、必要なときはカーシェアを利用している。

私も、動画や音楽のディスク(モノ)の購入やレンタルをまったくしていない。インターネットの配信ですべてがまかなえているため、所有感というものが失せているのである。

“使用”に価値を見いだす人が増えている、ということはよくわかる。モノを持たずにお気に入りの映画や番組を観たり、タブレットスマホで好きなだけ本も読める。そのことが新鮮なのである。

それを突き詰めていくとライブに行くとか、習い事をするなどと、体験して満足を得る消費は増えると思われる。現に、この先 数週間でライブに行く予定が2件入っている。

ふだんの会話でも、新製品の◯◯を買ったなどの話より、穴場のレストランや温泉地に行ってきた、との話の方が盛り上がっている。今はあふれる情報の中で、自分に合ったことを探し出す賢さが求められ時代でもあるのだ。