日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

今の一日よりずっと長い日は

 

誰もが、<幼きころの一日は今の一日よりずっと長かった>気がするのではないか。
古き説では、心理的な時間の長さが、年齢に反比例して短くなるという。仮に10歳児は40歳の4倍、50歳の5倍・・・との具合で時の流れを長く感じるそうだ。

「人は、あてにならない、という発見は、青年の大人に移行する第一課である」。
「大人とは、裏切られた青年の姿である」などと、太宰治さんは『津軽』に記した。

小林一茶には歳月を織り込んだ句がある。

<春立つや四十三年人の飯>。地方行脚に明け暮れる身の上を詠んだものらしい。
また、<月花や四十九年のむだ歩き>という句もある。

一茶俳句を評して「赤裸々な告白文学を読む心地がする」と語ったのは作家・藤沢周平さんである。

 

1970

 

見ているだけで吹き出してしまう芸にも時の速さを感じてしまう。ものまね芸の奥義を究めるコロッケさんも、芸歴37年である。テレビに出始めた頃から知っているので、その長さにピンとこない。

歌手・五木ひろしさんのしぐさを、カクカクとしたロボット的な動きで披露する“ロボット五木ひろし”が大好きで、何度観ても大笑いさせられる。代表作とも言えるこのネタは、テレビで映画『ロボコップ』を見ていた時に思いついたという。

長年演じているらしく、最初の頃と今ではまったく違うそうだ。今はCGのような動きを目指して研究されているとのこと。

東京に出て、赤塚不二夫さん、タモリさん、所ジョージさんに ものまねを見せる機会を得た若き日のコロッケさん。所さんから「似ているけど、面白くないね」と言われ(一念発起して)“ビジュアルものまね”が生まれた。

<似ているか似ていないか。面白いか面白くないか>を判断するのは観客であると確信した。座右の銘は「相手が1番、自分が2番」で、常に観客を喜ばせてきたのだ。

 

1969

 

<「亭主は達者で留守がよい」という生活を心から楽しんでいるような、呑気そうな細君だった…>。『夫婦十二ヵ月』(1962年)。評論家・河盛好蔵さんの文章だという。

テレビCMにて<亭主元気で留守がいい>の形で世間に広まるのは、それから24年たった1986年のこと。

今の定年は60~65歳と会社が示す選択肢により幅もあるらしいが、当時は55歳定年が普通だった。

時の流れの速さには恐れ入る。その昔、“定年”は「停年」と書かれたらしい。
<“停”年>との文字からは、バス停のようなイメージもわいてくる。

さて次はどんなバスに乗ろうか、と思えば、少し元気になれるかもしれない。