日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

隠れたる偉人伝と某国の逸話

 

<無用之用(むようのよう)>とは、老子荘子でよく使われる逆接的な理論だ。
意味は、「一目見たとき役に立たないと思っていたものが、重要な働きをすること」。

喩えば、人が地面に立つとき、足の裏が収まるだけの面積があれば足りる。しかし、立っている場所以外の大地を掘り取れば足もとが崩れてしまう。

かつて、さいとう・たかをさんの劇画『無用ノ介』が流行った。由来はこの“無用之用”かもしれない。ところで、この“無用之用”はいかがなものか。乾燥の季節にビリッと感じる「静電気」である。

あらゆる物質にプラスの電気を持つ陽子と、マイナスの電気を持つ電子があり、通常はプラスとマイナスの量はバランスがとれている。物質によって電子を引きつける力が強かったり弱かったりする。電子を引きつける力の異なる物質が接触すると、電子の移動が起こり、一方がプラス、もう一方がマイナスの電気を帯びる。これが静電気である。

 

1965

 

着ている服がマイナスの電気を帯びると、服に近い体の部分にはプラスの電気が引き寄せられる影響で、(手や指などの)服から遠い部分は、マイナスの電気を帯びる。この状態で、金属製のドアノブなど電気が流れやすい物質に近づくと、放電してビリッとくる仕組みである。痛みを感じるのは電気が一気に流れるためだという。

空気の乾燥で、より起きやすくなる。湿度が高い時期は、空気中の水分が衣服や体の皮膚全体に付着する。水は電気を通しやすいので、服などを通して地面へ電気が流れていくため帯電しにくいとのこと。水分が少ない冬は、特に静電気が衣服にとどまりやすくなる。

無用と思われる静電気も、なにかの用をなすために存在しているものなのかどうか。興味が深い。

電気といえば発明王エジソンが思い浮かぶが、そのエジソンは、己の先を行く(交流電気を開発した)研究者が日の目を見ないよう、執拗に嫌がらせをしたというエピソードが残っているようだ。

 

1966

 

偉人伝には書かれないことが多々あるのだという。

新大陸に降り立ったコロンブスは村人に金を集めるよう命じ、手ぶらで戻った者は腕を切り落としたとか。

リンカーン奴隷解放の隠れた狙いは、南北戦争で対立する南部の資本家を弱らせることだったとも。

こちらは節酒令が出た当時の旧ソ連におけるお話である。その時代、靴磨き用のクリームが品切れになったのだという。

原因は、靴磨き用のクリームをパンに塗り、アルコール成分がしみ込むのを待ちクリームを削ぎ落として、(パンを)酒風味にして食べる人が増えたからなのだと。いかにも酒好きのお国柄であり、この執念はすさまじい。

昔話のため真意を測りかねたが、11年前の報道で妙に納得できた。その年ロシア全土で、靴クリームならぬ密造酒を飲み約180人が中毒死したそうだ。いかがわしい酒でも酔いたい人々の執念をわからぬもないが、命がけの飲酒には静電気以上の強烈な電気が走りそうだ。