日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

2週間の風景を綴る時速とは

 

今年もあと2週間。
毎月、2週間はすぐに過ぎ去るが、今月の2週間はアッという間だ。

この時期に必ず思い浮かべるのは、昭和の作家・池波正太郎さんである。
千枚近くの年賀状を初夏の頃から少しずつ書き進め、一人ひとりを思い浮かべ、その名を直筆で記した。

手書きの味わいをわかっていても、自分では宛名、文面ともパソコン印刷で、添え書きは奥さんにまかせっぱなし。

ネットでの友人宛てにいたっては、20年前からメールだけの年賀状。最近はもっとお気楽なLINEでのご挨拶である。実に情けない。

 

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野坂昭如さんによると、コラムは「3つの“み”」で書くそうだ。
<ねたみ。ひがみ。そねみ。>である。

しかし、「3つの“み”」にも限界はある。
池波正太郎さんはもちろんのこと、今年メジャーで3千本安打を達成したイチロー選手などと、彼我の力量の差があり過ぎるものは、ねたむにねためない。

手当たり次第にねたんでいけば、人生がいくつあっても足りなくなる。

「ギャグ(gag)=面白いもの」と思い込んでいたが、その意味はまったく違っていたようだ。
物が言えないよう口に押し込む物。さるぐつわ。言論圧迫。などである。
そのあとでやっと、“冗談”という単語が出てくる。

年がら年中、ギャグのようなことを繰り返すだけなので、新年こそ変わらなければ。
といっても、この時期のこの思いは毎年繰り返されているだけなのだが。

<ほんまにもう、ムチャクチャでござりまするがな>。
昔懐かしい昭和のギャグにあったような気がする。

 

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人間の歩行速度は(個人差はあるだろうが)時速4キロといわれる。
人類が授かった時速4キロは、それ以上速くても、遅くても、物足りない絶妙のスピードなのらしい。

現代の社会では、移動手段としてほとんど当てにならないスピードでありながら、都会の雑踏や大自然の中、 普通の住宅街をのんびりと歩いていると、いくつもの発見がある。

車を運転するときとちがい、徒歩から得られる視覚、聴覚、嗅覚が楽しい。
それらの刺激で、日々の生活や仕事について考えをめぐらせたり、頭の中を空っぽにしたり・・・と。

自分の足で道を行くことは生活の基本で、日常の小さな喜びの“みなもと”なのかもしれない。今年残された2週間という時間。時速4キロで自分探しをしてみるのも悪くはない。