日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

脳内に関する読み物が面白い

 

とくに意識しているわけではないが、脳に関する本はよく読んでいる。それも、医学的見地からではなく、読み物として楽しんでいるのだ。

年明けに、興味深い新聞記事を読んだ。頭で思い浮かべた言葉の一部を、脳波の変化から解読することに成功したという。障害者との意思疎通や、ロボット操作にも応用が期待されるそうだ。

九州工業大情報工学部の研究グループが、“グー、チョキ、パー”などと選択肢を絞った条件で、それぞれの言葉の発声時と無発声時で、ほぼ同じ波形を示すと突き止めた。
五十音の一部でも識別に成功しており、今後すべての音の波形を分析できれば、単語や文章の解読も可能になる。

研究が進めば、障害で言葉を話せない人との意思疎通および、音が伝わらない水中や宇宙空間での通信手段への応用が期待できるとか。
<動けと念じればロボットを操作できる(SFのような)応用も可能となる>のだという。

 

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脳の中にはもう一つの“からだ”があるという。実際に運動するときに思い描く、身体の形や動きのイメージのことだ。からだは、脳との間にいい関係が築ければ、運動が早く上達したり、効果的なリハビリができたりする可能性があるという。

サッカーのブラジル代表・ネイマール選手は多彩な技の持ち主である。その秘密に迫る実験で、脳血流を見るfMRIを使い、相手が迫ってくる映像を見せ、相手をかわしてシュートに持ち込む自分の動きをイメージしてもらい測定した。

そこに、脳内の“からだ”の姿が浮かび上がったという。正体は3つのネットワークだった。映像の視覚情報で感じた相手の動きが、1つ目のネットワークに送られる。ここで、過去に覚えた運動のパターンから必要なものが取り出され、2つ目のネットワークでは、選んだ運動を切り替えながら状況に応じた運動プログラムが作られる。

それが3つ目の“高次運動領野”ネットワークで具体的なイメージとなり、運動の指令が身体に伝えられる。

 

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ネイマール選手の鍛えられた“身体”と、創造性豊かな脳内の“からだ”。
洗練されたその関係は、幼いころから大小さまざまなボールで遊び、家では机やイスを相手に見立ててドリブルでかわす練習をしていたそうだ。

脳にも基礎体力が必要だという。運動習慣と同じで、ふだんから集中したり、継続したりするという脳のトレーニングをしていなければ、いざという時に実力を発揮できないらしい。

集中が長続きしないという人は、ふだん、(私もそうなのであるが)テレビをぼんやりと見てしまうというようなことが多いらしい。脳に負荷のある生活習慣を持ち、脳の基礎体力をつけることが肝心だとか。

脳の中で共感性や意思決定などと、社会的な行動をつかさどる機能は成熟が遅く、思春期から25歳くらいまでにつくられるようだ。

 

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脳機能の成熟過程はおおまかに3つあるという。

1つは眼窩前頭皮質で、思いやりの領域。人が傷つくことは言わないとか、誰かが悲しむと自分もつらいとか。幼い子は残酷なことをしたり、言ったりすることがある。それは眼窩前頭皮質が未発達だからだという。

2つ目は背外側部で、合理性の判断をつかさどる。大人になると損得勘定で意思決定する。“冷たいやつ”と言われることは、子どもより大人の方が多いだろう。

3つ目は上側頭部で、空気を読んで自らの振る舞いを決める社会性である。男性より女性の方が発達の早いことがわかっているそうだ。

上側頭部の大きさも女性が大きく、話をしたり空気を読んだりというコミュニケーション気質が高い。そのため、男性と女性を交ぜた方が、組織内の対立は緩和されるという。

また、子どもの反抗期は脳の発達段階のサインなのだそうだ。その時、おとながあれもダメ、これもダメと縛るのではなく、さまざまな価値観に触れさせることが、脳の発達を促すことになるようだ。

反抗期のない子もいて、反抗を表だって見せない子と本当にない子、というパターンがあるが、怖いのは本当にない子だという。共感性の機能が発達した非常に優しい子なのだろうが、合理性の判断をつかさどる背外側部の機能が弱く、洗脳されやすい脳にもなりかねないとか。