日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

仮想水という発想で教わる事

 

仮想水(バーチャルウォーター)と呼ばれるものがある。
食料を輸入している国(消費国)が、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであるという。それは、ロンドン大学・名誉教授のアンソニー・アランさんがはじめて紹介した概念とされる。

1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800リットルの水が必要になるそうだ。牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kgを生産するには、その約20,000倍もの水が必要になってくる。

海外から食料を輸入する日本では、<その生産に必要な分だけ自国の水を使わないで済んでいる>ともいえる。食料の輸入は、形を変えて大量の水を輸入していることと考えられる、との理論である。

 

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日本のカロリーベースの食料自給率は39%(平成23年)となっており、多くの食料を海外からの輸入に頼っている。つまり、日本人は海外の水に依存して生きているともいえる。

水不足の本質は“飢餓”の恐れともいわれる。我々が現在使っている水のうち、3分の2以上が農作物と家畜を育てるために利用されている。工業が約21%を、生活用水が約10%の割合で占める。国内で農産物の生産に使われるおよその水量(年間)は、570億トンといわれる。

その数字だけでは、日本が他の先進国と比べても、それほどの量を使用していないといえるかもしれない。ところが、上述のように食料からの換算をすると、日本の仮想水の輸入量は世界最大の年間640億トンに達する。日本は「"水“赤字」国ともいえそうだ。

 

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1日の最低栄養価である3,000カロリーを供給するための食料を、生産するために必要となる水の量は約3,500リットルにもなるという。

食糧の生産過程で必要とされる水の量は、その生産国や生産地域の環境などにより異なるが、食料1kgを生産するのに必要な水の量は概算で下記のとおりである。

  • 牛肉 20,700リットル。
  • 豚肉     5,900リットル。
  • 鶏肉     5,900リットル。
  • 白米     3,600リットル。
  • 大豆     2,500リットル。
  • 小麦     2,000リットル。

 

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水に恵まれた国のようにみえる日本は、年間の平均降水量も約1700ミリで、世界平均の2倍になる。しかし、利用できる水の量は少なく、1人あたりの水資源量では世界平均の半分以下だという。それでも普段、水不足を実感しないのは、多くの水を「輸入」しているからである。

人が1日に最低限必要とする水の量は、20~50リットルといわれる。水が、単に飲み物、食べ物として存在するだけではなく、日本国内で使用される生活用水、工業用水、農業用水として膨大な量の水が必要とされている。

これらの問題を見据える多くの企業は、水の再利用や効率利用を可能にする水処理ソリューションを提供しているという。海水を淡水に変えたり、石油精製や重工業で生じる工業排水を上水に変えることで、世界の水消費を最小限に抑えることが重要になっている。