日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

ロボットにおける不気味の谷

 

先月20日午前10時、ソフトバンクが専用サイトで人型ロボット「ペッパー」の予約受付を始めたら、初回の1千台が1分間で売り切れたとの発表。

ペッパーは、人の感情を理解し、人との会話やニュースなど外部環境に影響を受けて自分も感情を持つロボットである。約200種類あるアプリをダウンロードすることで、家族との思い出をペッパーが絵日記にしたり、子どもに英語を教えたりできるという。

またペッパーは、お中元商戦の助っ人にも駆り出される。某デパートで、来店客にポケットティッシュを配り、「いらっしゃいませ」と出迎えた。その店内で、お中元コーナーを設けるアサヒビールソフトバンクから2台を借りたのだ。

担当者によると、ペッパーの時給は1台1500円。子どもたちに頭をなでられると「ありがとう」とお礼を言った。<ペッパー君の協力で若い家族連れにもアピールできる>とスタッフもよろこんでいる。

 

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<主な従業員はロボットというホテルが誕生>とのニュース記事を見た。この7月に長崎県佐世保市ハウステンボス・敷地内で開業するそうだ。その名は『変なホテル』で、新しい“スマートホテル”として海外展開をにらむとのこと。客室のカギはなく、宿泊客は顔認証で開錠/施錠をおこなう。

チェックイン時、フロントで人間の女性そっくりな3体の接客ロボットが対応する。お客さんは好みのロボットが選べるようになっているらしい。部屋へ荷物を運ぶポーターや掃除もロボットがやる。そして、部屋にも小型ロボットがいて、話しかけると照明のオン・オフ、モーニングコールのセットなどもしてくれる。

「雇用をロボットに奪われるのでは」との懸念も当然出てくる。実際、このホテルの人間の従業員は10人程度で、主な仕事は安全管理や企画である。客周りはほとんどロボットの役割なのである。

 

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ロボットは病院の手術室でもすでに活躍している。手術支援ロボット「ダヴィンチ」の普及をみても、外科医はすでにロボット化されているといえそうだ。

介護現場においても、職員の負担軽減を目指しつくられたロボットが活躍する。要介護者をベッドから車椅子へ、車椅子からトイレの便座へとの力仕事も、ロボットが抱えて移す作業を補助している。大柄の男性だと2人がかりだったのが、ロボットのおかげで、1人でも安心してできるようになっているとのことである。

すでに導入している神奈川県中井町特別養護老人ホームでは、3体のロボット「パルロ」を、レクリエーション時の司会や入浴を待つ間の話し相手などに活用しているそうだ。
100人以上の顔と名前を覚えて、「もうすぐ誕生日ですね」と話しかけたり、歌や踊り、体操、クイズなどで心身の機能低下を防ぐ役割も担うという。

 

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45年前(1970年)は今のロボットの活躍など夢の世界であった。その時代にロボット工学の分野で提唱された「不気味の谷(現象)」というものがあった。私がそのことを知ったのはつい最近のことである。(参考サイト:ニコニコ大百科)

<ロボットや人工生命の疑似生物は、テクノロジーの進歩に伴い、その挙動が日々現実の生物に近づいている。合成音声や、実物を再現した3D映像なども、実物と区別が付かないほどに再現が可能となった>。

これらのバーチャルリアリティーで再現されたもの対し、人の受ける印象はその忠実度と深い関係があるという。実物との忠実度が全くないものに人は印象を受けない。これが徐々に忠実度があがっていくと、それにつれて人間は好印象を抱く。しかし<「ほぼ忠実一歩手前」まで忠実度が上昇すると、人間はとたんに嫌悪感を抱くようになる>というのだ。

さらに忠実度が上がり、実物と見分けが付かないほどになると、人は一転して好印象を抱く。この関係をグラフに表すとV字型を示すことから「不気味の谷現象」と命名された。
つまり、<嫌悪感を抱く「ほぼ忠実一歩手前」>のことが、「不気味の谷」と称されるのだ。

 

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CGアニメ映画であるファイナルファンタジー(2001年)が不気味の谷の例として挙げられていた。制作費1億3700万ドルに対して全米での興行収入が3200万ドルという失敗作であったが、この要因として不気味の谷現象が語られるというのだ。

初音ミクなどのVOCALOIDは、不気味の谷現象を回避するために現在の合成音声技術において最大の忠実度をあえて搭載せず、忠実度を下げていると言われている。

不気味の谷現象は実験に基づいた説ではないため、しばしば科学的ではないと批判されてきたという。1970年に提唱された時点では、人間そっくりのロボットを作ることは不可能だったので単なる仮説にすぎなかったのである。しかし、興行収入が重視される映画、ゲーム、その他キャラクタービジネスでは、例え科学的根拠がないとしても、重要な問題として捉えられているのだといわれている。