日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

マイナンバーは曖昧模糊なり

 

<海の青が薄くなると、それだけ、空の青が濃くなってゆく>。
井上靖さんの『六月』という詩の一節である。

早いものである。この勢いで10月もすぐ近くのような気がする。国民一人ひとりに番号を割り振る、共通番号(マイナンバー)制度の開始を、来年1月に控え、政府や地方自治体が準備をしているという。

今年10月から番号を通知、来年1月以降に顔写真付きの「個人番号カード」が交付。国民に12桁の番号を付け、役所や税務署等が共通の番号で個人情報を管理、提供する。本人確認の手間を省き、不正防止にも役立てる仕組みだとか。
早ければ17年1月から運用予定とのこと。

制度の利用拡大を目指す内閣府は、新たな基本法を制定する方針を固めた。1月実施の世論調査では、(マイナンバー制度の)内容を知っていると答えた人は28.3%にとどまった。3年前の調査(16.7%)から増えたものの、「周知が不十分だった」と内閣府

 

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マイナンバーは、社会保障、税務、災害対策の3分野を中心として使われ、年金や雇用保険の給付、所得税の確定申告、災害に遭った人への支援金の支給などの手続きに利用できるそうだ。

年金の給付資格を得るのに、現在は申請書に住民票を添付して提出しなければならないが、マイナンバーを用いれば住民票は要らなくなる。引っ越した場合、転居先の自治体が予防接種の履歴を、前に住んでいた自治体から引き継ぐなど、一部の医療分野でも使えるようになるとか。

ただ、情報をやり取りするシステムの稼働は17年以降なので、それまではカードが身分証明の活用程度にとどまりそうだという。
以降は、マイナンバーカードを使い、コンビニエンスストアの端末や銀行の現金自動預け払い機(ATM)での銀行口座の開設や、印鑑登録、戸籍謄本のコンビニでの発行などにつなげる狙いがあるらしい。

 

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政府は、スマートフォンを活用できるようにする方針を固め、インターネットで完了する手続きが増えるという。インターネットの専用ページ「マイ・ポータル」で、自分の番号がいつ、何に使われたかを確認でき、専用ページから様々な行政手続きが行えるようになる見込みだという。

将来的にはカードの機能をスマホに載せ、印鑑登録証明書の発行などの行政手続きにも対応。持ち歩くことが多いスマホを通じて、マイナンバー制度を利用してもらうのが狙いのようだ。

しかし課題も山積で、今年3月末に終了予定だった基幹システムの<個人の情報を自治体間で提供し合うシステム>の開発が遅れたままのようだ。
担当する総務省は「全体のスケジュールには影響しない」とするが、全国の自治体への導入が遅れると、トラブルにつながりかねない。

 

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6月末をめどにまとめる政府の成長戦略に、マイナンバー制度が盛り込まれるそうだ。
そして、これを生活の様々な場面で使えるようにするため、基本法案となるIT利活用法案(仮称)を16年の通常国会に提出する予定だ。

マイナンバーに登録している住所を変更すれば、引っ越し時に電気やガス、通信会社などの登録情報を一括して変更できるようにするつもりだとか。

いいことばかりのようであるが、個人情報がどのように流れどのように使われるのかは、きわめて不透明であるような気がしてならない。行政機関にはプラスでも、国民にとってのマイナス面はいかほどのものなのか。そこのところの明確化が望まれる。

 

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4年前のテレビ地デジ化にしても、実施後の不具合はかなりあったと訊く。ところが都合の悪い部分は報道もされなければ、事後報告も伝わらない。例えば、首都圏で東京タワーからスカイツリーへの電波送信移行。表向きで何事もないようなバトンタッチであったが、どれだけのトラブルが発生し、莫大な出費が発生したのか。

便利になることの裏合わせで、国民の負担は国民に知らされない。
ハローワークでの雇用保険の給付でも、自宅のパソコンで求職検索できるというのに、該当施設のパソコンで検索しないと、“職業相談の実績”と認められない。そのために、窓口はどんどん混み合い、待ち時間だけが膨張していく。

スマホで、インターネットで、すべてが便利になるというが、デジタル化すればするほど、別の面でアナログの動きが生じ、リスクが増幅するようだ。そして、たいへんなことが起きても、秘密主義に徹して蓋をしてしまう。不透明なデジタル化こそが一番怖いのかもしれない。