日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

四角四面にならない視覚情報

 

よくあることであるが、人と話していておたがいに、頭の中で描いている人物像は、完全に一致しているのに、名前がまったく出てこない。なにかのきっかけで思い出せるのであるが、それを待つ時間がもったいないので、名前抜きで話がどんどん進行していく。

ある俳優がマイルドセブンを買いにたばこ屋へ。店番のおばあさんに言った。
「イレブンピーエム下さい」。かつて流行ったテレビの深夜番組名と間違えたのである。
すると、おばあさんは「はい、セブンイレブンね」。なんと、マイルドセブンが出てきたという。

吉行淳之介さんのエッセイ『やややのはなし』にある、英文学者・小田島雄志さんから聞いた実話だそうだ。言葉はかみ合わずとも、俳優とおばあさんは同じ絵柄の小箱を頭に浮かべていたのである。

 

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目と目で通じ合う・・・♪ というなつかしい歌もあるが、人と犬ではそれが可能らしい。(私の体験では、猫とも通じ合える気はするが)。

人間と犬は互いに見つめ合って絆を深めているとの研究結果を、麻布大と自治医大などの研究チームがまとめた。犬は約3万年前から人間と暮らしてきたと考えられ、「なぜ犬が人間と長く生活を共にできたかを解く手がかりになる」とチームは話している。

その研究内容は、飼い主と犬が5分間のうち1分半~2分間見つめ合った8ペアと、10秒~1分間見つめ合った22ペアについて、飼い主と犬の体内の「オキシトシン」というホルモンの変化を調べる、というものである。

オキシトシンは、人間が安心感を得たり、信頼感が高まると分泌されると考えられている。それは尿にしみ出してくるため、尿の検査結果において、長時間見つめ合ったペアの方が、飼い主と犬もオキシトシンの量が増えていた。

そして、<通常、動物が相手を直視することは威嚇のサインになるが、人間と犬の間では親愛のしるしになることが示された>との結果も得られた。

 

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歌人・穂村 弘さんはパソコンに届く怪しいメールを眺めていて、<Money(お金)>を<Monkey(猿)>と見誤ったという。

<なんだ「Money for you」じゃないか。がっかりする。金か。猿じゃないのか。「猿をあなたに」。私だけのための猿がどこかにいるところを想像する。そのつぶらな瞳>と『にょっ記』に記されていた。

不正B-CASカードの勧誘メールがしつこく届いた時期があった。全国で違法行為が横行して、 違法カードがインターネット上に出回り、“魔法"をうたい文句に踊らされた人々が、犯罪に手を染める結果に・・と。

<60代の住職は5枚も買い込み、自宅のテレビ数台に差し込んで有料放送を楽しんでいた。 ある捜査関係者は「良識たるべき人間なのに。煩悩が108個以上あるんじゃないか」と 聖職者の不正行為にあきれ果てる>などの記事に大笑いした記憶が。

穂村さんのように「なんだ、金か」と思うくらいが、一番の防御法だろう。お猿さんに見えればなお楽しい。

 

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「ネット時代こそ、新聞で脳を鍛える」というのは茂木健一郎さん。
読み方は、一面をさっと確認し、後ろの社会面などから一面に近づいていく。柔らかい記事から堅い記事に、頭を慣らしていく感じとか。

数種の新聞をすべて読むと1日でも読み切れない。でも、読み方が分かるとパッと見て、興味ある記事を見つけられるようになる。

<新聞が発信する一番大きな情報は、実は見出しとレイアウトにある>とのこと。
たしかに、新聞は見出しの大きさで、ニュースの社会的な価値を“視覚ではっきりと”脳に伝えている。幾多の大事件や大惨事も、その見出しの大きさで「事の重大さ」を受け止めてきた。

重みが、視覚的に頭の中へファイルされることで、(時代の記録において)新聞紙面に勝る物はないかもしれぬ。そのニュースが社会でどのように受けとめられるのか、その「相場」を知ることも大事。自分の知りたいことだけをネットで検索し、うのみにするのとは自ずとちがってくる。

 

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<10年連続の減少で、過去最大の減少幅>。現実問題として、新聞の発行部数はどんどん減っている。昨年末の統計では、総発行部数が前年比3.5%減の4536万2672部で、ピークだった1997年(5376万5074部)と比べると約15%減。

ピークの年をみても、インターネット普及が新聞の減少要因であることは明らかである。
私も最新ニュースを得る一番のメディアといえば、やはりインターネットといえる。
人と世間話をしていても、ヤフーのトップ記事のような内容ばかりである。

そのうち<手に入りにくい新鮮なニュース>に飢えている自分を感じてくる。
会話だけでなく、記事の読み書きもまったく同じで、今後 興味を持たれる情報とは、インターネットにないものかもしれない。言葉に縛られず、(名前が出てこないが)作者と読者の頭に中にその映像が鮮明に浮かび上がるような記事があってもいいだろう。