日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

旨みが上手く広がれば美味い

 

「コトン」という手のひらサイズ“世界最小の洗濯機”が話題だという。
18センチの円筒形で、洋服に押し当てて汚れやシミを落とす。
今朝の新聞記事からの抜粋である。

中国家電メーカー、ハイアールの日本と東南アジア市場を統括する会社が作った。
伊藤嘉明社長はソニーグループの出身だ。食事中、シャツに飛び散ったシミで困ったことがある。試作品でおもしろいと感じ、ぜひ製品化につなげたいと思った。

世界を席巻していた日本の電機業界も、新興国メーカーに押され気味。会社規模の拡大で、スピード感が失われたことも原因。また、ソニーはテレビに続き、一世を風靡したウォークマン事業を分社化する。

 

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ウォークマンは、創業者の井深大さんが、旅客機で音楽を聴く際にテープレコーダーが重過ぎるからと、技術陣に製作依頼して生まれた。そのウォークマンに感動したスティーブ・ジョブズさんがiPodを製作したのは、あまりにも有名な話である。

「隔世の感」は<昔を思い出し今はずいぶん変わったなあ>と思う感じをいう。
「別人の観を呈する」は、<別の人のように見える>といった意味になる。
この世のすべてはどんどん移り変わり、同じ状態でいられるものはない。
会社自体を<小回りの利くサイズ>に作り替え、ソニーらしいモノ作りを期待したい。

一方、世界で注目が高まるのが「うま味(umami)」だという。
平成25年12月、「和食(日本人の伝統的な食文化)」がユネスコ無形文化遺産に登録された。和食に関して数年前から特に注目の集まっているのが、その味の基本ともいえる「うま味(umami)」なのである。

 

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南北に長く、四季が明確な日本には多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきた。このように“自然を尊ぶ”という日本人の気質に基づいた「食」に関する習わしを、「和食(日本人の伝統的な食文化)」と題してユネスコ無形文化遺産に登録された。

「和食」の特徴は、多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重。海、山、里と表情豊かな自然が広がり、各地で地域に根差した多様な食材が用いられている。素材の味わいを活かす調理技術や調理道具の発達も大きい。

栄養バランスに優れた健康的な食生活として、“一汁三菜”を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスといわれる。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現し、日本人の長寿や肥満防止に役立てている。

 

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食事の場では、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつである。
季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用して季節感を楽しむ。

また、日本の食文化は、正月などの年中行事と密接に関わって育まれてきた。
自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきたのである。

「うま味」は、<甘味、酸味、塩味、苦味>以外に分類できる食べ物の味として<第5の基本的な味>ともいわれる。この言葉はすでに「umami」として英語の辞書にも載っているそうだ。うま味に対しては海外の有名シェフたちが強い関心を寄せて、普通の人たちの間でもなじみ深い言葉になりつつあるという。

 

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アメリカでは「ウマミ・バーガー(Umami Burger)」がチェーン店化で、うま味をセールスポイントにしている。この店の売り物は海藻、きのこ、魚などのうま味成分を使ったハンバーガーなのである。

2009年に第一号店をロサンゼルスにオープンさせ、それから数年で全米にて20店舗以上を展開するチェーン店にまで成長している。
ニューヨークのマンハッタンにも進出した。その開店時には3時間も待たなければならないほどのにぎわいであったという。

そして、この店には約100年前にうま味物質を発見した池田菊苗博士の写真が飾ってあるそうだ。

「umami」という言葉は、世界に知れ渡っている「sushi (すし)」などと同様に和食の魅力を象徴するものとして広く定着していくのかもしれない。

今にして思えば、ソニー製品にも「うま味」がたっぷりで、世界中がその旨さを堪能した。
その精神がスティーブ・ジョブズさんにも伝わり、iPod、iPhone、iPadが誕生した。このような「うま味」の輪廻が世界中に広がることはとても楽しい。