日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

ソメイヨシノが満開になると集客力がアップする

 

ふだんはほとんど訪れないが、数年ぶりに通りかかった近所の桜並木商店街のソメイヨシノがなくなっていた。訊いてみると、老朽化のため伐採したという。あれほどきれいに咲いていたのにふしぎである。どうやら、人が手をかけないと弱ってしまい、60年経った頃には無残な姿になるとか。調べてみると、ソメイヨシノは日本人の花見の歴史から見れば、まだ200年に満たない新参者の桜らしい。

その後、満開のソメイヨシノを撮影にでかけてきた。平日でも、お年寄りや子どもたちでいっぱいであった。公園などでも、ふだんの土日よりはるかに多い。たくさんの花見客をみると、屋台や近隣の商店の目線になり、売上げはどうなのだろうと興味を持ってしまう。

その一方で、桜の消えた桜並木商店街のひっそりと静まり返っていた光景を思い浮かべた。

 

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花見の売上げというと、知り合いのRくんが高校生の頃、宅配寿司のアルバイトで張り切っていたのを思い出す。桜が満開のある日、仕事が暇でじっとしているのがきらいなRくんは、今から花見客が集まるところへ行って、注文をとりにいきたいと提案した。

その話に乗った店長は、暇な時間を見計らって、みんなで花見客に声をかけるゲームを始める気になった。その結果、言い出しっぺのRくんがダントツのトップである。1件も注文がとれない社員もいた。花見に浮かれた酔っ払い客たちの前で、Rくんは瞬間芸を披露したりして、注文をとりまくった。もう10数年前の話である。今では、花見客をターゲットにしている宅配フードも多くなっているであろうが。

Rくんのいる営業所は、全国で売上げトップになることもあり、Rくんは個人的にも何度か表彰された。また、 研修用ビデオのモデルにもされてテレていたのが懐かしい。

 

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味の素の容器・中蓋の穴の話は伝説化され、ご存知の方が多いだろう。昔のビジネス書などでもたくさん紹介されていた。内容は同じでもいろいろな説があったりする。

私が聞いた話では、売上げを上げるための社内キャンペーンで、従業員全員に案を募った。採用の際には賞金が出るとのこと。その中で、パート勤務のある女性も、家族との夕飯時に名案を模索していた。

それを聞いていた幼少の子どもが「そんなのかんたんだよ!」とニッコリ。その子が言うのには、中のふたの穴を大きくすればいいんだよ、とのこと。それを訊いた母親は、その意見をそのまま採用して応募した。そして、そのパート女性がトップ賞で大金を手に入れた。

ずっと実話だと思っていたが、ネット検索してみると、味の素の会社側ではそんなことはない、と否定しているらしい。「調理瓶」を発売するとき、調理に使い勝手が良く、湯気による目詰まりを防ぐため、「卓上瓶」より口の面積を広くし、穴の数を増やしたそうだ。このことが、おもしろおかしく伝えられたのでは、との見解のようである。

仮に、それが実話でも、会社側から「はい。そうです」とは言い難いであろう。作り話だとしても、興味深い話である。パート勤務の女性の案が通って、売上げが上がったことと、元の案はその女性の子どもであったということ。それがとてもおもしろい。

 

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花見の話にもどるが、今まで公私ともにいろいろな花見を経験している。公私の「私」の方ではかなり、おバカなことをして、おもしろいことも多いが、「公」ではお付き合いの要素が強くなる。職場で恒例になっている花見もその中のひとつである。桜の満開に予定を合わせるというのが、かなりめんどうで手がかかる。先に予定を決めた花見も何度となく実施している。花がまったく咲いてなく、寒い中でも、予定通り決行したこともある。

うまく満開のときにできたとしても、仕事が終わってから幹事が買い出しに行ったり、車を使わないと行けない場所が多かったりと、なかなか落ち着けない。もたもたしていると、始まる時間がどんどん遅くなり、始まる頃には疲れきっていたりする。

毎年、同じことの繰り返しも飽きてきたので、それまでの花見とまったくちがうやり方でやったことがあった。

花見の日は、満開の日の朝に決定する。予定のある者もいるだろうから、全員参加にこだわらない。幹事も会費もなし。そして、場所は職場ビルの前の公園である。 桜の木は少ないが、場所取りの心配もなく夜桜気分を味わえるだろう、とのもくろみであった。

 

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その年の満開の朝がついにやってきた。朝礼での号令で仕事終了後すぐに花見を決行することを伝えた。伝言の内容として、これから向かうそれぞれの担当営業エリアで、各々が飲みたいものと食べたいものを調達してくること。ただ、それだけであった。

幹事と会費を決めず、みんなで好きなものを持ち込むだけ。こんなかんたんなことなのに、長年まったく気付かずにたいへんな思いでやっていた。

内勤ばかりの職場では無理であろうが、車で走り回っている営業では、ふだんからの買い食いはあたりまえである。仕事の合間の少量の買い出しなどはお手の物なのである。

そして、いよいよ花見本番である。いつもより早い開始で、ぐずぐずいう者もなしの全員参加。

そして、なによりおどろいたのが、持ち寄りのつまみと酒やビール、ワインなどの多さ。それぞれが担当エリアのグルメを、みんなに紹介したいという心理の相乗効果なのである。上質の肉でのしゃぶしゃぶや、おいしい刺身。焼き鳥やめずらしい惣菜もたくさん並んだ。それまでの花見とは比べものにならぬほどの豪華さであった。車を運転する者もいないから全員で酔って盛り上がった。

道行く人たちが、なんでこんなところで盛り上がっているのか、と不思議がって私たちを眺めていた。その公園で昼間はともかくも、夜桜で酒盛りするグループは皆無だったのである。それが翌年から、数組の花見客が集まるようになった。そして、年々花見客が増えてきたのである。