日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「逆こそ真なり」をゲーム感覚で身につけてみるのもいいだろう

 

なにかの本で読んだが、喘息発作の方が病院に行ったとき、そこの医者が「吸わないで吐きなさい。吐けば息は吸えますから」と言ったとのこと。喘息の方は、この一言で人生が一変した、と述懐していた。

それを読んで思い出したが、私は写真の仕事をしていたときに、S水さんというカメラマンといっしょに、出張で証明写真の撮影に行った。某大企業の社員たちを順番に撮影するのであるが、そこのお偉いさんのときであった。それまでは順調に撮影していたのが、そのお偉いさんは何度もNGになった。シャッターを切るとき、必ず目をつむってしまうのである。

 

 

ご本人はだんだん不機嫌になり、周りのお付きの社員たちも気が気ではない。カメラマンのS水さんだけ冷静で、「それでは撮る前に目をつむって下さい」と言った。お偉いさんは、「そんなことやるのは初めてだぞ!」とぞんざいに言い放ちながらも従った。

「はい、OKです」とS水さん。今度はたった一度でうまくいった。ちなみに、S水さんは元NHKのスチールカメラマンで、紅白歌合戦の出場歌手全員の集合写真や、失敗の許されない大事な写真を数多く撮っていた方である。撮影の手伝いをしていた私も、S水さんの対応に感心をした。

 

 

何事にも言えるが、得よう、得ようとしないで、こころにあるものをまず吐き出し、素直な気持でことに処すれば、うまくいくことがある。「あげればなくなりもらえば増える」という言葉も印象深い。いやだと思う仕事でも、してあげると思わず、させてもらうと思えば、相手に喜ばれ自分も満足感が得られるだろう。

ストレスは受け身になるほど影響を強く受ける。やれと言われる前にやることで、それこそ活性酸素の発生をだいぶ抑えられるはず。攻撃は最大の防御の如く、ストレスに対する良薬にほかならない。

 

 

そして、行動を起こすときは、気軽に初めの一歩を踏み出す。鼻歌まじりがちょうどいいだろう。あまり慎重に考えると一歩目が踏み出せないからだ。

「人間は本来怠け者で、逃げ場のない所に追い込まなければ、本当のスターは作れない。怠けたい、弱い自分との闘いだ」とのこと。かつてバレーボール名監督であった松平監督の名言だ。自分を追い込む手段として、人がやりたくないことを引き受けるのも一案だ。誰かにやって欲しいのだから、引き受ければ感謝される。この当たり前のことをしない人が多いのである。

 

 

脳科学者の茂木健一郎さんは「意欲のあるお年寄りが一番強い」と言っていた。創造性は脳の側頭葉が作り出した「経験」と前頭葉が発信する「意欲」の掛け算によって生み出される。経験をたくさん積んだお年寄りが、本気で意欲を出すことが一番すごいのだそうだ。晩年まで意欲を失わなかった芸術家の岡本太郎さん、漫画家の手塚治虫さんは人生のいいお手本だ。

一般的にいうと、側頭葉での「経験」は豊富でも、前頭葉から「意欲」の発信が弱くなるのがお年寄りで、前頭葉の「意欲」は満々であるが、側頭葉で作り出される「経験」の少ないのが若者だといえる。しからば、同年代の何倍も「経験」を積んだ若者は、「意欲のあるお年寄り」を超えることもかんたんなのではないか。むずかしく考えることなくゲーム感覚で貴重な「経験」の一歩目を踏み出したらなにかが起きるかもしれない。