物事はシンプルに紐解いてみるとわかりやすい
単純化された話は、相手に対する説得力が増す。具体的で、映像的で、ユーモアがあればもっといい。何かを勉強しようとするとき、難しく考えようとする傾向があるのはもったいない。シンプルであればあるほど身につくであろう。
逆転の発想でおなじみのロケット博士・糸川英夫さんは、システム工学について訊かれると、『スパイ大作戦』と応えたそうである。かつての人気テレビドラマであり、のちにトム・クルーズで映画化された。
原題『ミッション:インポッシブル』(Mission: Impossible)は「実行不可能な指令」との意味で、その難題をひとつひとつシンプルに紐解いていくストーリーである。
また、糸川博士が知り合いのお宅を訪ねた際、そこで見かけた光景で「これぞシステム!」と著述されていることがあった。
そのお宅で、奥さんが何度叱っても、幼い子どもたちは玄関に靴を脱ぎ散らして困っていた。ある日、一計を案じた奥さんは、靴を脱ぐ場所にチョークで子どもの靴とまったく同じ大きさにしるしをつけ、「このしるしの上に靴を載せてごらん」とやさしく囁いたそうである。
子どもたちはおもしろがって、きちんとしるしの上に靴を置くようになったとか。それを、糸川博士が目撃したのである。
さて、1から9までを足すといくらになるのか。計算をするまでもなく、1から10を足すと55になるのはわかっている。古くは算盤で、その後は電卓で、確認済みでもあるので、55から10を引いて45という答えがすぐにわかる。
もし、先入観なしに計算をすると、1から9まであたりまえに足していく以外に、下記の3つの方法もある。
・1+8、2+7、3+6、4+5で9が4つ。もうひとつの9で45。
・1+9、2+8・・・と計算し、10が4つ、さらに5が残るから45。
・1から9までの数字の下に、9、8、7・・・と逆に数字を並べ1+9、2+8・・・9+1という形で計算し、10が9つで90。これを2で割って45。
これはずっと昔に読んだ本からの知識であるが、シンプル化された計算法ゆえに、今でもしっかりと憶えている。わかりやすい、ということはいつまでも忘れにくい、ということでもあるようだ。