シナリオになくてはならない隠し味
『発想はシナリオ風に』というエントリで、私は構成とテーマについて軽く書かせていただいた。しかし、いくら構成とテーマがしっかりしていても、それはドラマや映画のおもしろさとは別物である。これからシナリオにおける(料理でいう)「旨み成分」について私なりに述べてみたい。
私はシナリオライターにはなっていない。あくまで、現実の仕事などの現場で、シナリオの手法を使った、という経験でしかない。さて、シナリオの隠し味とはいったい何であろうか。その答えはズバリ「枷」である。
いかに作品の中に枷を作って、その枷を飛び越えられるか。そこに尽きると思う。
- 絶対的に強いスーパーマンには、鉛という弱点がある。
- 地球を守ってくれる我らがウルトラマンに与えられた格闘時間はたったの3分。
- あの半沢直樹や水戸黄門などの、勧善懲悪モノでは、はらわたが煮えくり返るような悪党があればこそ。
どんなジャンルにも枷が必要なのである。それは、時間的な枷、状況的な枷、精神的な枷・・・。ありとあらゆる枷が描けているかどうかなのである。
さて、現実の仕事や生活に置き換えるとどうであろう。
物事がなにもなくスラスラと思い通りに進行することなど、めずらしいのではないだろうか。もしかしたら、仕事の大部分が枷といってもいいかもしれない。
私の場合、転職をして職種が変わっても、つねにクレーム対応の仕事が付いて回った。これって、もっともわかりやすい枷であり、何度も逃げてしまいたいとも思った。
それでも、なんとかなっている。シナリオにおける枷という意識があったおかげかもしれない。すべてうまくいくとは言わないが、大きな枷をなんとか乗り越えられたときは、そこに自分だけのドラマがあることだけは断言できる。