日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

存在を楽しく許すは あの映画

 

落語のいいところは、損得と関係なしに“その存在を楽しく許している”ということらしい。そこには、演者とお客さんで共感が持てる“笑い”が介在している。

ヒットシリーズ映画『男はつらいよ』には、「落語のエッセンスをふんだんに感じる」と称されることがよくある。

山田洋次監督によれば、<渥美清さんとの対話から寅さんが生まれた>とのこと。

まずは、テレビドラマでスタートして評判になった。山田監督は忙しくなるとの思いで寅さんを殺した。そうしたら、(視聴者から)非難が殺到したため映画で復活させた。

 

 

最初は渥美清さんとうまくいかなかった。渥美さんは記憶力がよく、撮影のときはすべてを暗記して台本を持ってこない。アドリブの多いところが趣旨に合わなかった。

渥美さんを撮り直させたシーンは、さくらが兄に結婚すると打ち明けるときのリアクションだったという。渥美さんは、じっとできずいろんなことをしたくなる。うなずくだけで表現して欲しかった。3、4秒じっとしてからうなずいてくれ・・・と。

第1作のヒットで続編を作るとき、渥美さんはがらっと変わった。頭のいい人である。山田監督との仕事をわかったのだ。

9作目のとき、山田監督は辞めどきだと思った。初代おいちゃん・森川信さんが亡くなった。あんな名優は他にいない。渥美さんに相談してみると、渥美さんはノッているときで、やってみましょうとのことだった。

 

 

渥美清さんと倍賞千恵子さんは、演技のうまさだけでなく相手の役者をうまくさせる力があるという。山田監督いわく、<渥美さんの目を見ていると、みんないい芝居ができる>のだとも。

山田監督は、今でも『男はつらいよ』の構成のアイデアが浮かんでくるらしい。しかし、渥美さんがいないから困る。

山田洋次さんは全48作の原作・脚本を担当して、第3作と第4作以外の46作を監督した。第5作で再び監督して、シリーズを完結させる予定だったが、あまりのヒットに続編の製作が決定し続けた。

映画シリーズ全48作の配給収入は464億3千万円。観客動員数は7957万3千人。ビデオソフト(1996年7月末までに)は、セル用とレンタル用の合計で85万本が流通したという。(参照:Wikipedia)

ちなみに、現在はネットフリックスなどのネット配信でも、全作の鑑賞ができる。