日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

時を経て形を変える和食の心

 

1990年に43.8%だったのが、一昨年(2017年)は27%に減ったらしい。朝食にご飯を食べる人の割合である。家庭の食事もこの20年で様子が変わり、和食が減少傾向にあるようだ。家族一緒に同じものを食べる食卓も減っている。

“現代家族論”の著作で知られる岩村暢子さんは、1998年から食卓の調査(食DRIVE)を継続的に実施している。主婦に1週間の食卓を写真と日記で記録してもらい、その内容を聞き取る。集めた写真は1万5000枚以上になるそうだ。

とくに1960年以降生まれの親世代までさかのぼる調査実績では、第二次世界大戦後の日本人の生活史が浮かぶという。当時に比べて、魚を焼いたり、だしをコンブやカツオ節などから取ったりする人も減っているとのこと。

今は、個々に自分の食べたいものを、自分のタイミングで好きな味に染めて食べることが一般化している。“素材・自然中心”から“自分・人間中心”という流れのようだ。

 

 

冬の料理と思われた鍋料理も、今は年間を通じて登場する。旬の素材の味を生かした味つけだけでなく、トマト味やキムチ味などと鍋つゆの味で食べるのである。食事時間も家族バラバラで、そのたびに加熱をし直す。

1960年以降の生まれの主婦は、その母親世代が戦後の食糧難の時代に育ったため、伝えるべき和食の原体験が乏しいという。

時代背景としても、油脂や肉、小麦、牛乳がふんだんに使われる欧米型食生活を国が推進する時に家庭を持ち、雑誌や料理学校などで洋風料理を学ぶ。

1960年代から70年代にかけて、インスタントやレトルト食品、外食や中食産業も発達した。家庭の食卓は大きく変わり、一からすべてを作らなくても日常の食事には困らず、多彩な食を味わうことが可能になってくる。

 

 

1970年に日本初のファミリーレストランチェーン「すかいらーく」が誕生して、コンビニエンスストアの「セブン・イレブン」第1号店が開店したのは74年。ファストフードも流行し、食の簡便化は進む。

育児も子どもの意思の尊重という考え方が広まり、食事の好き嫌いも個性との判断で無理強いをしなくなる。塾通いなどで、子どもは先に夕食を食べて出かけ、遅くに帰る父親は一人で食事をする。家庭内での料理体験が減る一方で、孤食・個食が一般化した。

そして洋風化だけでなく、味がしない白いご飯が苦手だったり、みそ汁はなくてもいいという子どもも増えるようになるのだ。

好きな物を食卓に出し、“お握りとカップ麺”や“スパゲティとパン”などの「主食重ね」を、私もやることがある。生まれ持った味覚は保守的・・と思ってきたが、今までにないおいしさや簡易さの出会いで、その味覚もかんたんに更新されてしまう。

とはいえ、昔ながらの素朴な和食に出会うと新鮮味があってとてもおいしくいただける。このアンバランスな部分がふしぎでおもしろい。