日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

人間味を意識するは人工知能

 

昨年、北海道大学でAI(人工知能)の研究チームが、写真をもとに俳句を作る人工知能を開発したという。コンピューターが自ら学ぶ“深層学習”で、小林一茶さん、高浜虚子さん、正岡子規さんなど俳人の約5万句を学習。その名も「一茶くん」だとか。

ひとまとまりの俳句に合った風景写真も約3万枚学ばせた。そのことで、画像を入力すると瞬時に俳句を作ることが可能になった。

季語だけでなく、“や”、“かな”などの「切れ字」も使いこなす。<湖に うつる紅葉や 窓の前>は湖と紅葉の写真から生まれた。今のところ初心者よりは上手、というレベルらしいが約300万句を作ったそうな。

独創的な句が生まれることもあるらしい。<鳴き捨てし 身のひらひらと 木瓜(ぼけ)の花>などは人間味を感じさせる句である。

 

 

<命が、命の仕組みが透けて見えるのです。その命と私たち人間の命はつながっているのです>。ミジンコ研究家の顔をもつサックス奏者・坂田明さんが、初めて顕微鏡でのぞいたときの感動である。

工夫を重ねて飼育槽を作り、観察を続けてきたのは、微小な甲殻類のその“命”に触れたからだという。

普段は感じることが少ない命の重み。1913年(大正2年)の夏、志賀直哉さんは山手線の電車にはねられ、重傷を負った。死と隣り合う生を見つめたのは、養生に訪れた兵庫県城崎温泉であった。そこで名作『城の崎にて』を書いた。

作品の一節に<自分は死ぬ筈だつたのを助かつた、何かが自分を殺さなかつた・・・>とある。仏に、神に、“何か”にであれ、「生かされている」という自覚は、大病を経験した人だからこそ語れるのかもしれない。

 

 

<経験はそれだけでは経験にならない。他のもう一つの経験によって乗りこえられた時、初めて一つの経験になる>。ゲーテの言葉らしい。たとえば転職でも、それまでにたいへんだった仕事を多くこなしていると、後で活きることがたくさんある。

AIに負けない人間味といえば、アイデアもそのひとつだ。商品開発にしても経験に基づいて生まれ、それを活かす経験が必要になるのだろう。

梅雨の時期である。我が家にも何本かあるビニール傘は戦後の東京で生まれたという。江戸時代から続く傘問屋の9代目・須藤三男さんが開発したらしい。

1953年(昭和28年)に、雨漏りや色落ちが多かった木綿の傘にかぶせるビニールカバーを作ったことがきっかけだった。そのヒントは進駐軍のビニールのテーブルクロスとのこと。

一時は流行ったが、化繊の傘の登場で販売は激減した。58年にビニールを骨に直接張った傘を開発したが、売り上げはパッとしなかった。

ところが、64年の東京五輪で来日した米国の商人が買い付けた。<雨の多いニューヨークで売れる>との確信があったからである。米国で評判になることで、日本でも人気が出ることになった。経験の連鎖というところに人間味があって微笑ましい。