日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

視点はミステリーのごとくで

 

<万引きで 奪い取ったよ 最高賞>(関根 悟さん)。昨春、新聞にあった時事川柳である。是枝裕和監督の『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに選ばれた。

その授賞式で、ケイト・ブランシェット審査委員長が、コンペ部門の作品は「目に見えない人々に声を与えた」と述べた。是枝監督も記者会見で<見過ごしてしまったり、目を背けたりしてしまいがちな人々をどう可視化するかは、映画を作る上で常に自分の中心にある>と語っている。

万引き家族』という作品は、都会の片隅で、生きていくために犯罪を重ねる家族に焦点を当てたのである。“目を背けたりしてしまいがちな人々”こそが、是枝監督にとってミステリーなのかもしれない。

 

 

歴史家の磯田道史さんは、テレビなどで歴史の謎解きに関するお話をしているときに“活き活き”とされている。それを聞いて、こちらも興味が湧いてくる。

三方ヶ原の戦いで、京に向かう武田信玄徳川家康が迎え撃つ。大敗した家康は浜松城に逃げ込むが、信玄はなぜか追討していない・・・のだと。磯田さんは自著でその謎を解いている。

織田信長からの援軍を調べると、通説では3000人であったがそれを大きく上回る2万人が分散配置されていたとみられ、信玄は容易に手が出せない状況にあったらしいのだ。江戸幕府が伝えた秘蔵文書が歴史に光をあて、それにもとづく推論だという。

さて、昨年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪では、カーリング女子日本代表チームのメンバーが試合中に発した「そだねー」が、“いやされる”、“かわいい”などと開催中から各種メディアをにぎわせた。

そだねー」の言葉自体は私たちもなにかのときに使っている。それがあれほどに騒がれた、というのがふしぎでおもしろい。

 

 

そだねー」が北海道弁かどうかとの論争もあったが、メンバーらも「方言とは思わなかった」とのこと。ご本人たちが“そだねーブーム”に驚いていた。

“方言”は近代期の国語政策のあおりをうけ、長らく恥ずかしくて隠したいものであったという。1980年代にはテレビなどの普及にて、共通語が誰でも使える普通の言葉になったため、だれもが使えるものではない“特別な言葉”としての価値を持つようになった。

インターネットの時代には、キーボードでの“打ち言葉”が普及した。話すように打ちたいという感覚で“方言”の人気が拡がった。

2000年代では、女子高生の方言ブームがマスメディアに取り上げられ、女子が“かわいさ”を求め、携帯メールに“方言”をあえて盛り込むということになる。それは“方言に萌える”という感覚だったとか。

カーリング女子に関しては、ピンマイクにより(聞こえないはずの)選手の“声”を耳にすることができるようになったことが大きかった。それも、“もぐもぐタイム”での会話だったからあれほどまでにウケたのであろう。

 

今週のお題「アイドルをつづる」