日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

痛勤にて座るための生存競争

 

通勤や通学で往復の満員電車は、だれにとっても“苦痛の種”であろう。全国の通勤・通学の平均時間は1日あたり1時間19分だという。(2016年・総務省実施の「社会生活基本調査」より)。最長は神奈川県で、全国平均より26分長い1時間45分。次いで千葉県、埼玉県、東京都と続く。

空席をねらって座ろうとする乗客がひとつの席を争うのは日常茶飯事のこと。私自身も長距離通勤でまったく座れないとき、目の前に座っていた男子学生が途中下車をして、その席に座れたことがあった。

それからは、その学生の顔を憶えておいて、彼の前に立つようにしていた。しかし、他の乗客たちも同じことを考えているらしく、学生の座る前の立ち位置の奪い合いのような状況におちいった。

当の学生は、またか・・というようにうんざりした顔になっていた。

 

 

それから後に、別の職場へ通うことになった際、上述の学生と同じ立場になったことがある。朝の通勤で、私が降りる手前の駅から乗ってくる30代か40代の男は、一目散に私の姿を追い求めて、私の目の前の吊り革をつかむのだ。毎朝、私の座る席がターゲットにされていた。

まさか自分がつけ狙われて、貼りつかれるとは思いもしなかった。なんだか、その男にストーカーをされているようで気持ちが悪い。私の前に立たないでくれ、といつも念じるのだが、その男は必ず私を探し出す。

車輛や座席をつねに別の場所に変えればいいのだが、なかなか座れる席が確保できず、座れる確率の高い席をやっとの思いで見つけた矢先であった。

たまに、その男が現れる前に別の乗客が立っていてくれるときは、心の中で拍手喝采した。そういうときは、例の男はうらめしそうに私を一瞥して、別の席の前に立つのだ。

 

 

私が座るいつもの席と別の席に座れることもある。そういうときは例の男を隠れるように観察してみる。あの男は当然に今までの立ち位置を目指して乗り込むが、私のことを確認できず、いつもの席のあたりをうろうろして私を探すのだ。

男は席そのものより、途中下車する人間が目的なのである。私が見つからないと、となりの車輛に移動してまで探していた。

いつもはストーカーの被害者気分であったのに、あの男を観察してみると自分が逆ストーカーになっていくような気持ちになっていた。

頭の中で、別のイタズラ心が芽生えた。私が平日の日に休み、いつもの出勤姿でいつもの席に座るのだ。そして、その男が私の前に立ち、私がいつもの駅で降りるとアテにしているところで、その駅に降りずに座ったままで乗り過ごす。

寝たフリでもしながら、その男の反応を見てみたい・・・。しかし、それは実現できず空想だけで終わってしまったが。