日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

便利機能の便利さが増すとき

 

<あくびをしながら物を噛もうたって、無理なんだよ>。落語「搗屋幸兵衛“つきやこうべえ”」の一節である。2つのことを同時にするのは難しいものだ。昨年、全国大学生協連が大学生の一日の読書時間を調べたところ五割超が「ゼロ」と回答したそうな。

おもしろそうな本があるのに自分は読んでいない。なんだか損をしていないか。世間から取り残されているのではないか。読書時間もなかなかとれない。結果、焦る。本好きだった私もそんな気分になった。

やがて、パソコン通信からインターネットへとハマり、本を読む時間は激減した。今は情報収集も、スマートフォンで用が足りる。学生たちもアルバイトや就活で忙しいはずだ。

働き盛り世代の人や若者たちに、「スマホ認知症」の症状を持った人が増えているという。物忘れなどで、外来を訪れる患者の若年化がどんどん進んでいるらしい。

 

 

認知症を専門とするクリニックでは、認知症にならないような世代の受診がここ数年は増えている。患者の3割は40代~50代で、20代~30代が1割だという。

脳が健康な状態を保つためには、情報を脳に入れることとその情報を深く考えてバランス良く行うこと。スマホの登場で現代人は“情報入手”だけが多い状態になっているようだ。情報で“オーバーフロー”となった脳は過労状態になる。

そのため、物忘れや感情のコントロールができず、うつ病認知症と同じ症状が引き起こされる。スマホ認知症は生活習慣を変えれば改善するという。そのために必要なのは“ぼんやりタイム”。集中して何かをした後にぼんやりする時間が脳には必要なのだ。

とはいえ、IT機器は進化し続けて、ぼんやりもしていられない。例えば、米グーグルでは音声認識ができるAI(人工知能)「アシスタント」をあらゆる機器へ搭載しようとしている。

 

 

グーグルは“AIの生態系をつくりたい”らしい。AIスピーカー等の音声応答機能を、テレビや車など より幅広い端末・機器への搭載を検討。アシスタントとウェブやアプリとの連動をしやすくしている。

家庭用のスピーカーを使えば、習慣になるほどに使用頻度が高まっていく。私も、“グーグル”、“アレクサ”とお話をしない日がない。

音声応答機能は、マイクさえあればどんな端末にも搭載ができて、ディスプレーの限界にも左右されない。人とかわしている会話の感覚で、いろいろな内容にでも対応できるのだ。

ただ、便利さが増すほど危うさや脆さが潜むこともあるだろう。誰もが使えるグーグルの「ストリートビュー」で高級住宅を探し、盗みを繰り返したという事件が、実際に大阪で起きている。

音声応答機能も使いようによれば、最高の盗聴器として、悪の手先になる可能性もあるはず。そうなれば情報の漏洩場所も、家庭、クルマ、電車内・・・などと、あらゆる範囲で起こりかねないのである。