日日平安part2

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寅さんの指導方法「おひたし」

 

“ヒットの鍵は口コミ”との文言が飛び交う時代である。かつて“時代を映す鏡”と称された雑誌も今や売り上げ減だという。口コミという言葉の語意も時代とともに変化しているようだ。今ならLINEやツイッターなどSNSを使った情報の拡散なのであろう

虚業家、恐妻、一億総白痴化などと、独特の言語感覚で世相を斬り、多くの造語を遺したのは評論家・大宅壮一さんであった。口コミもその中の一つである。

大宅さんなら、一億総評論家が情報交換や検索に明け暮れる現代を、どのような言葉で喝破するのだろうか。

こちらもSNSで拡散され話題になった言葉らしい。上司への報告、連絡、相談、いわゆる“ほう・れん・そう”に“お・ひ・た・し”で返す「ほうれんそうのおひたし」だ。

部下に怒ったり、説教したりしてはいけない。それを端的に伝える言葉である。

 

 

「お」怒らない・「ひ」否定しない・「た」助ける(困り事があれば)・「し」指示する。なかなか説得力のある言葉だと思う。そして、すぐに連想するのはあの人・・・。

映画『男はつらいよ』の寅さんである。自分のことは棚に上げ、恋に悩む若者に対する寅さんの指導方法はポジティブで、“当たって砕けろ”、“なんとかなる”と強気である。

「燃えるような恋をしろ」、「アイ・ラブ・ユー。できるか青年」などと、セリフもポンポン飛び出す。

映画『男はつらいよ』シリーズ全48作の配給収入は464億3000万円、観客動員数は7957万3000人だという。

車寅次郎の妹さくらと諏訪博をちぐはぐな誤解で結び付けた第一作から、毎度毎度いい女のマドンナが登場する。映画の中だけでなく、田中裕子さんがマドンナのときには沢田研二さんが共演。志穂美悦子さんのマドンナでは長渕剛さんが出演されている。

そして、映画の共演がきっかけかどうかはわからぬが、まさに寅さんの叱咤激励の如く結婚をしている。

 

 

昨年10月1日にスタートしたNHK連続テレビ小説まんぷく』も視聴率が好調のようである。安藤サクラさん演じるヒロイン・福子の夫・萬平役には朝ドラ初出演の俳優・長谷川博己さん。どちらも好きな役者さんである。

長谷川さんは若い頃から「朝ドラが若手俳優の登竜門といわれ、ヒロインの相手役をやるとそこから売れるよと言われていた」という。そして、20代前半に何度もオーディションを受けて落ちてきた。

安藤さんと長谷川さんの役柄や演技からも、「お・ひ・た・し」の要素がふんだんに感じられて、見ていてほんわかな気分になってくる。

最近とくに感じるのだが、安藤さんと長谷川さんが出演する寅さん映画をぜひ観てみたかった。例の調子で寅さんが長谷川さんに恋の極意をけしかける。そんな楽しいシーンを観てみたいものだ。