日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

かつては誰もが若者であった

 

<故障するわけさ。メード・イン・ジャパンだ>。SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のシリーズ第3作にあるセリフだ。

親友の科学者ドクが発明した自動車型のタイムマシン「デロリアン」で、カリフォルニアの高校生マーティは冒険を繰り広げる。

1985年から30年前にタイムトラベルしたマーティは、1955年のドクにデロリアンの修理を頼む。小さな電子部品を見てドクが放った言葉は冒頭のセリフであった。

<何を言ってんだドク? 日本製が最高なんだぜ>。マーティはすぐに切り返す。

1955年には粗悪品の代名詞だった日本製の評価は、1985年までの30年間で劇的に変わった。

 

 

<お客様は神様です>とくれば、着物姿でにっこりする三波春夫さんが浮かぶ。そして、好景気に湧く日本の姿がオーバーラップしてくる。しかし、有名なこのせりふを言い出したのは三波さんではなかったという。

三波さんいわく<妙なものですねェ、私は「お客様は神様です」といったことはありません、あれは(お笑いトリオの)レツゴー三匹の皆さんが、三波のいいそうな言葉だというのでおっしゃったそうで>と。

昭和のひととき、このセリフに明るく弾むような響きがあったことは確かだろう。三波さんの言葉は<(三匹に)感謝しております>と結ばれる。

言葉にはいくつもの表情があるようだ。

<月はまるで青い氷のなかの刃(やいば)のように澄み出ていた>。川端康成さんの『雪国』には月の描写がある。冬は月も星も美しい。ガリレオが自作の望遠鏡で初の天体観測をしてから今年で満410年になるそうな。

 

 

「時空」とひとくくりに言われることが多い。ところが、人間はガリレオ以降にはるか遠くの星群をも見ることができる目を携えたのに、ほんの1分先も、5秒先も見ることができない。親しみを増す“空”と、そ知らぬ顔の“時”が心に交差する。

バック・トゥ・ザ・フューチャー』の初回作ではマーティが、あこがれのトヨタ車を1985年の街で見かけ、<ザッツ・ホット(いかしてる)>とほめた。さらに34年後の今も日本製品は“最高”と言ってもらえるだろうか。

<若い時には避けるような仕事にも、老年になると ぞうさなくとりかかれる>。英国作家のサマセット・モームの言葉だとか。

人は老いると時間ができる。そこで何が変わるのか。老齢は新しい挑戦をするのにふさわしい。昭和時代の若者もまだまだ捨てたものではない・・・かもしれない。