日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

テレビは創造性を引き下げる

 

<好きなシェイクスピアの作品を10本挙げろ>。今のディレクターに言っても、出てこないでしょう。名脚本家・倉本聰さんの弁である。

昔のプロデューサーや演出家は、ドラマ・作品のことをよく勉強していた。そして、テレビの現状を倉本さんは心配する。

「今のテレビの最大の問題は、視聴者の創造性を引き下げてしまったこと」。視聴者は、制作側が考えている以上に創造力が豊かで、自ら想像し、創造したがっている、という。

しかし、テレビ局は“わかりやすく。もっとわかりやすく”をモットーに、誰でもわかる低水準に合わせた番組作りをしている。だから、テレビはつまらなくなってしまった。テレビに限った話ではなく、すべてのメディアに共通することでしょうが・・・とも。

倉本さんの言葉は的確だ。

 

 

先輩たちと比べて、今のテレビマンは勉強不足で、視聴率の動向を過度に気にする。“表現者”としての制作者が減り、“商売人”気質の人が増えている。

作品構成の「起・承・転・結」で、作り手の見せ所は“承”の部分。かつて、その楽しませどころを熟知してシナリオを書く人は多く存在していた。山田太一さん、向田邦子さん、橋本忍さん・・・など。

“承”以外の部分は、ひらめきに近い分野なのかもしれない。“発端、クライマックス、結末”を描くよりも“承”の部分を描くのは長くてむずかしい。飽きさせない工夫が要求されるのである。

承の部分がしっかり書ければ、クライマックスと結末が映える。名作には、承のおもしろさが必ずある。近年のドラマは“承”の部分の“間”が持たないのだろうか。

10話のドラマでも間延びして、最終回はまだ? と飽きてくる。ならば、2~3話を省いて回数を減らすと、“承”の密度が濃くなりそうなのだが。

 

 

不思議なのは、ドラマの初回や最終回でもないのに時間を拡大すること。視聴後にいつも思うが、拡大する意図がわからないのだ。編集で通常時間にしっかり収まる内容なのに、ドラマの作り手がヘタなのか・・・。

映画でも、いつのまにか2時間以上が定着している。かつて、90分でたっぷりと楽しませてもらった名作は多々ある。娯楽作品はとくに90分がちょうどいい。

最近、TVK(テレビ神奈川)で再放送していた『俺たちの朝』の録画が、裏番組の時間拡大のためエラーになり最終回を見逃した。最初から47話まで問題もなく録画できていたのに。

2チューナーのレコーダで予約して、10分間だけ3番組が重なったのではじかれた。他にレコーダは2台あるのに悔しい限り。今の作品は見逃しても、配信でかんたんに視聴できるのに古い作品はそうもいかない。

『俺たちの朝』のあとには、ご本家である『俺たちの旅』の再放送が始まった。まだ2話だけであるが、いくつものシーンで大笑い。俺たちシリーズ”で名を馳せた鎌田敏夫さんの脚本は、楽しませどころが満載で、“承”の巧みさが随所に散見されるのである。