日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

おもてなしの裏には何がある

 

中国の「一人っ子政策」という厳格な人口削減策は、1979年から2015年まで導入された。<叔父や叔母がいない社会は人類の歴史に類例がなかったから…>と、『2061年宇宙の旅』(アーサー・クラーク)では、中国の「一人っ子政策」に触れた一節がある。

1970年代から続いたその人口抑制策も転機をむかえ、2016年1月に撤廃された。すべての夫婦に2人目の子どもを持つことが認められるようにと、「二人っ子政策」のもとで、出産を奨励する方向に舵を切った。

若い時代には、世の中の裏表や処世の手ほどきを、おじさんやおばさんから受けた経験をもつ人は多いはず。今の日本も少子化の影響で、おじさんやおばさんがどんどん減っているような気もする。

 

 

NHKの長寿番組『きょうの料理』では、1957年の放送開始から視聴者のニーズを反映して料理を紹介してきた。そのレシピも5人分から始まり、やがて4人分になり、今では2人分のことも多いそうだ。

スーパーの棚にも1人用、1回分に小分けした焼き肉のたれや鍋のつゆ。ごはんが進むおかずにしても、1人分がいつから増えたのかと驚くほどである。それも、食卓に“個食”や“孤食”と呼ばれる風景が広がっていることが要因である。

さて、“おじ・おば”の少ない社会と結びつけるのは早計だろうが、物事の一線がどんどんずれてきている・・と思うことがある。

「迷惑行為が近年で増えているか?」との問いには、5割が増えていると答えている。

スーパーやコンビニなどの従業員の約7割が、客から暴言や脅迫などの悪質なクレームを受けた経験があるという。“悪質なクレーム”をめぐる5万人のアンケート結果では、客を待たせるなと怒り出し、説教が延々と続いたり、聞くに堪えぬ暴言がまかり通っているようだ。

 

 

クレーム対応では、「謝り続けた」、「何もできなかった」が4割を超えた。まさに、クレーマーの温床にも感じる。

<おもてなしの国、世界一心のこもったサービス・・・>。作家・石田衣良さんは、その評判や美名への疑念を雑誌に書いていた。

“最高のサービスの裏には最低の客が隠れている”のではないか。疑いたくなる・・・と。

客としては王様のように振る舞えるが、商品やサービスを提供する側に回れば、下僕のようにさせられる。社会が便利になりすぎて、ますます理想のサービスが求められるようになる。そのことでの弊害や歪みが目立つ。

木枯らしの季節である。“木枯らし”は「凩」とも書く。中国から伝来した漢字にはなく、日本生まれのいわゆる国字である。それは、「風の略形と木」を合わせたものという。日本独自の包み込むようなサービスを、受け手と与える側で大切にしたいもの、と切に願う。