日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

わかりやすい言葉と表現上手

 

<掃除の下手な大工は仕事もあかん>。数寄屋大工・中村外二(そとじ)さんの言葉だという。大阪万博の日本庭園をはじめ、生涯で120余りの茶室を手がけた。

駆け出しの職人は木の削り屑に肌で触れ、仕事の段取りや道具の使い方などを先輩大工から盗む。掃除が下手であることは基本の学習を怠ってきた証しで、いい家が造れるはずもない・・・と。

そして、どの木をどんな用途で、どんな場所に使うか。<大工は木を知らなあかん>とも。体の五感を全て賢く使い、未知の環境でも自分で考えて解決する。体は賢く、頭は丈夫でなければならないようだ。

 

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この暑さでは、他の季節以上に木陰のありがたさが身にしみる。身近な街路樹のプラタナスが減っているという。大きくなるので剪定や落ち葉の処理に手間取るのが理由らしい。

夏の真昼で暑さにあえぐ旅人がプラタナスの木を見つけ、その陰で身を休めながら「実がなっていない」、「役立たずな木だ」などと散々なことを言う。人に親切を施してもわかってもらえないことは多い。“恩知らずめ”と木が怒ったのも無理はない。イソップの寓話である。

報道では、“災害級の猛暑”や“酷暑”などの言葉が連日飛び交う。熱中症の危険さを訴え、エアコンを推奨する地域も多い。

室内が冷えれば冷えるほど、外気に(エアコンから)吐き出される熱風が充満する。身を守るためには、“温暖化の悪循環”もやむを得ず・・なのだろうか。

 

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雨がたくさん降れば地面を冷やし気温も下がる。とはいえ、降れば降ったで大雨の影響による大災害が懸念される。例年にない極寒だった冬から数ヶ月後にはこの酷暑。振り幅がどんどん大きくなるようだ。

黒澤明監督の映画『天国と地獄』でのラストシーンを思い出す。

誘拐と共犯者殺害で死刑が確定した犯人の元へ、三船敏郎さん演じる被害者の会社常務が面会に行く。

貧しい環境に暮らす犯人が、(下宿の窓から高台に見える)豪邸で裕福な暮らしをしている一家への妬みが、誘拐の動機になった・・・と語り始める。

そこへ、貧富の差を感じさせるシーンがオーバーラップする。耐えきれぬ真夏の暑さの中、憎悪の眼差しで涼しげな豪邸を見つめる犯人のアップである。