日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

夢を運ぶ箱が映す時代の変貌

 

“光害”という言葉がある。夜もまぶしい人工光が動植物のリズムを乱す。星空を見えなくしていることの弊害もある。求愛メッセージを送り合う蛍は、明るい人工光のもとで、繁殖がうまくいかなくなる。

日照時間の変化を目安に花を咲かす植物も、成長のタイミングが乱される。卵からかえったウミガメの子どもは砂浜で、海から反射してくる月や星の光を頼りに、海へと向かうが、街灯に惑わされて陸の方へ逆に歩み出してしまう。

とはいえ、電気がなければ、電化製品も使えずなにもできない。私の周りの大部分の使用物は、電気がないと動かないからだ。

<人生とは時代を目撃すること>。秋元康さんの名言である。わざわざ現場へ赴かなくとも、テレビが連れていってくれる。時代の目撃もほとんど、テレビやラジオを通じて、視聴している。とくに、テレビは“夢を運ぶ箱”なのである。

 

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テレビの売れ行きが急増したのは、皇太子(現・天皇)のご成婚パレードがテレビ中継の1959年(昭和34年)4月だといわれる。

この年の6月には、巨人軍の長嶋茂雄選手が天覧試合で、阪神のルーキー村山実投手からサヨナラホームランを放つ。そのお膳立てで、新人の王貞治選手もアーチをかけた。“ONアベック本塁打”の歴史がスタートした試合でもある。

大相撲の納谷幸喜さんが、大鵬と“しこ名”を改めたのもこの年なのだ。テレビの普及とともに、経済成長の中で<巨人・大鵬・卵焼き>の時代が定着した。

夢を運ぶテレビは今も存在する。ただ、ONや大鵬に並ぶ国民的ヒーローはなかなか出ないのが実情か。

スターが輝いていた時代、どこかに夢があったわけではない。猛烈(今は死語?)にコツコツと励んでいた日本人が、“夢”という言葉を輝かせていた時代だったからなのか。

 

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<優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む>。天才ピカソさんの言葉だという。凡人は猿まねしかできないが、偉人は本質を見抜いて自分のものにする、という意味らしい。

アップル創業者スティーブ・ジョブズさんも、既存の“良いもの”を利用するのがうまかった。1990年代に発明の(アイコンをクリックする)“マウス”も、他社が不要と放り出したアイデアだ。iPod誕生のきっかけはソニーウォークマンであった。

今、<映画は映画館で公開されるもの>との常識が変わりつつある。オリジナルのドラマやバラエティー番組を多数製作してきた動画配信サービスが、映画製作に関わるケースが増えている。

たとえばネットフリックス(Netflix)は、有名俳優や監督を起用した映像作品を“映画”として配信。原則的に映画館で公開せず、加入者だけが視聴できるのだ。その傾向は他の配信サービスにも広がりつつある。

私にとっても、テレビは夢の箱のままだが、リアルタイムの放送の視聴は減って、ネット配信と録画再生利用が大部分を占めている。