日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

伝承されない能力と継続の力


かつて投手王国といわれた阪神タイガース。若きエース江夏豊投手の背番号は「28」。

映画『博士の愛した数式』で、博士に扮する寺尾聰さんのセリフにあったと思う。
<江夏は完全数を背負った選手だった>と。

完全数”とは、己の数を除き、割り切れる数をすべて足し合わせると、自分自身に等しくなる数字のことである。

一番小さい完全数は(1+2+3=)6で、次が(1+2+4+7+14=)28。その次の完全数となるば496だ。

行こう花見(15873)は、7人で行くと(15873×7=)111111になるが、ひとり欠けても増えても1は並ばない。これはテレビで、たけしさんが言っていた。

数字には隠れた秘密がたくさんありそうだ。

そろばんと電気式計算機の対抗試合が、東京・日比谷で催された。といっても、1946年(昭和21年)の11月のことだ。

速くて正確なのはどちらなのか。米軍の機関紙「星条旗」が主催である。

 

2133

 

加減乗除に混合算の計5種目を競い、4種目をそろばんが制して軍配が上がった。そろばんの上級者になれば、珠(たま)をはじく指の感覚で計算の間違いに気づくという。

電卓全盛の世を迎えたときも、慣れるとこちらが速いと職場などでそろばんを愛用している方もいたが、さすがに今は見られないかもしれない。

カナダの氷上で猟をするイヌイットは、風た星、海流などの知識をもとにして、自在に移動してきた。21世紀に入ると(人工衛星を使った)GPSに頼り始めたらしい。

便利に思えたが、いつしか深刻な事故を引き起こすことになる。電池の凍結や機器の故障のため、荒野で迷う猟師が相次いだのだ。ときに命を落とす事態に陥った。

その要因は、周囲を見極めて判断する力が伝承されなくなったためとのこと。(ニコラス・G・カー著『オートメーション・バカ』より)。

 

2134

 

伝承といえば、ゴールデンバットの歴史は今年で112年。愛煙家に受難な今も、この商品は健在だ。ゴールデンバットというたばこ。かつては両切りタイプで、2016年6月からフィルター付きとなる。

日本国内で販売のたばこでは現役最古の銘柄で、1906年の発売時は10本入りが4銭。私が最初に知ったときは30円であった。それが、2018年4月1日より一箱330円。

昭和の初めは日本で最も名の通ったたばこだった。太宰治さんは『富嶽百景』に、筆が滞るとバットを七箱も八箱も吸うと記している。詩人の中原中也さんは、「七銭でバットを買つて、一銭でマッチを買つて・・・僕は次の峠を越える」と書いた。

ゴールデンバットが日本で世に出たのは1906(明治39)年。日露戦争の戦費に苦しんだ政府がたばこの専売を強めてすぐ、大陸向け商品として生まれた。そのときに、中国で縁起もののコウモリを金色で描いたそうな。

激動の112年を眺め、人々に愛用され続けたバット。たばこの価格が高騰化している現代、比較的な安価で人気を集めるかもしれない。