桜の下のその風景に笑顔あり
桜の下で、子どもたちは水遊びをしたり、とても暖かな春の陽気だった。昨日のお花見から5日前は雪だった。そのギャップがすごい。
歳時記では、“春の雨”と“春雨”を区別するという。“春の雨”は冬の名残りの冷たい雨をも含み、“春雨”は春の後半にしっとり降る雨を指す。後者の雨は、月形半平太が芝居で「春雨じゃ、濡れてゆこう」と言う、あの雨のことだ。
花見といえばお酒でしょう、と浮かれる御仁も多かろう。私も同類である。
先の東京五輪が3年後に迫る中、1961年の通常国会で<酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律>である酩酊防止法が成立した。その提案理由として、「オリンピックを目前に控えている事情などを考慮・・・」、などとの説明があったようだ。
アルコールの影響で正常な行為ができない恐れのある者を“酩酊者”と定義し、度の過ぎたふるまいには罰則を設けた。4年に一度の五輪のみならず、毎年浮かれる花見の季節も注意が必要なのは間違いない。
とはいえ、桜が満開になるこの時期に毎年思うことであるが、桜の木の下を散歩する人や花見客は実にいいお顔になっている。笑顔があふれているのである。
ふだん、同じ場所を散歩する方の笑顔を数値化して比較できたらおもしろい、などと考えてしまう。単なる妄想の範疇かと思いきや、笑いを測定できる機械が存在しているようだ。
2008年、関西大学の木村洋二教授らの研究チームが、笑いの測定装置を開発したとのこと。人が笑ったとき、筋肉に流れる微かな電気信号(筋電位)を、横隔膜、ほお、腹筋の皮膚周辺に付けたセンサーでとらえ、1秒間に3000回測定する。それを独自に開発したソフトで分析するのだ。
笑いの単位はaH(アッハ)で表し、“アッハッハ”と笑う1分節が「1aH」になり、爆笑し続けたりすると値はどんどん大きくなる。
笑い測定機は測定部分の反応の組み合わせで、笑いを分類することができ、愛想笑いなどを見抜くことができる。その活用法として、お笑いコンテストの審査に利用することや笑いと健康の関係の探求に使われるらしい。
笑いの医学的効果(免疫機能、血糖値、ストレス等への影響)を科学的に検証するツールにもなるようだ。
愛想笑いやつくり笑いには反応しないが、心の底からおかしい本物の笑いだけを感知できるというのは、最近話題のAI(人工知能)みたいで興味深い。
思えば、腹の皮がよじれるほど大笑いした記憶は遠く、愛想笑い、つくり笑い、薄ら笑い、苦笑いに慣れきった我が身だと、何aHの数字になるのか想像ができない。
一見、快活に高笑いをしながら、目だけは笑わない先輩や上司もいるだろう。笑い測定機を使いチェックしてみたくなるが、笑えない結果のオチになりそうでこわい。
今週のお題「お花見」