日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

寒中にして温かな“あの文化”

 

漢字テストの出題者が期待したのは“弱肉強食”だが、「◯肉◯食」の問いに“焼肉定食”との答えがあった。有名な話である。

「用意◯◯」だとどうだろう。その空欄へ迷わず“ドン”と解答した生徒がいたという。

漢字とは厄介なものなのか。

「侃々諤々(かんかんがくがく)」は遠慮なく議論することで、やかましく騒ぐことが「喧々囂々(けんごうごう)」。私には区別がしにくくて困る。

ぎなた読み”というのがある。「弁慶がな、ぎなたを持って」(弁慶がなぎなたを持って)と“文の区切りを誤って読んだ”昔ばなしに由来している。

「ここではきものをぬげ」(ここで履物を脱げ)を、「ここでは着物を脱げ」と読み違えれば、たいへんなことにもなりかねない。

ただ、漢字にして読めば“履物”や“着物”の像が目に浮かぶので、漢字が便利にもなるのだ。

 

1971

 

学校の試験で得意なところが出たり、青信号が続いてノンストップの通行ができた。
そういうとき、「今日はついている」とつぶやいてしまう。

“ついている”の語源は、異界の霊などが人に「憑(つ)く」ことにあるという。
妖怪の伝承が激減したのは高度成長期頃か。都市化で闇が失われ、開発で自然から遠ざかった。その時期から“つき”とも遠ざかってしまったのか。

“バブル景気”との言葉はカタカナと漢字の組合せ。この一語であの頃の風景がいくつも浮かんでくる。財テクの加熱や多くの驚嘆。

1980年代後半、円高不況を脱し90年代初頭まで続く「バブル景気」を迎えた日本。地価や株価が上昇し、投資や個人消費が過熱。不動産価格のあまりの急騰ぶりにだれもが驚いた。その中で、こんな時代は決して長続きしないことを感じた。

 

1972

 

1990年代に入ってバブルは崩壊。地価や株価も下落。バブル崩壊後、日本の経済は金融危機やデフレに苦しみ、長い低迷期に陥る。

今が、ものすごい好景気だと報道されている。しかし、周りを見渡してもバブルのときのような勢いがまったく感じられない。

寒くなった先週あたりから売れ時が来たのか、多様な商品が近所のドラッグストアに積み上がっている。マスクである。この商品が大幅に出回るようになったのは、バブル崩壊後からであろう。

一般的なマスクの種類は、素材により大きく2つのタイプに分けられる。

1.不織布タイプ
繊維や糸などを織るのではなく、熱や科学的な作用によって接着して薄いシート状にしたマスク。

2.ガーゼタイプ
綿織物(ガーゼ)を重ね合わせてつくった、昔からあるタイプのマスク。

また、三次元、超立体、加湿10時間等と、種類の多さに驚いてしまう。

日本のマスク文化は外国人の目には奇異に映るそうだ。欧米では“覆面”の意が強いらしく、公の場での着用を規制する国もあるとか。

日本でマスクをする理由は、菌を持ち帰ると家族に不運が見舞いかねないし、同室の同僚に気を使う人もいる。

マスクを使うことのない私も、<寒中にしてなかなか温かなこの文化>には興味が持てる。せめて、気持ちだけのバブルにはこのアイテムがよさそうだ。