日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「ストロング」の強みは割安感

 

昨年あたりから、家でビールを飲まなくなっている。外で飲むときは、最初に(お約束の)生ビールを飲むが、2杯目からは(飲み仲間とともに)別のものに切り替わる。とはいえ、私の財布のエンゲル係数は、酒類が大部分を占めていることにまちがいない。

明治の頃、日本のエンゲル係数(生活費に占める食費の割合)は60~70%だったという。昭和の初期には約50%に下がったが、敗戦による貧苦で60%前後に戻った。

高度成長を経て20%台まで下がったが、この数年のエンゲル係数はかなり高くなり25%を超えた。最も低かったのは2005年で22%だという。

現在は、収入が増えていないのに、円安や消費増税で食品が値上がりしたのが要因の一つとか。

 

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“食の営みの変化”もエンゲル係数増とは切り離せない。

調理済み食品を買って家で食べる人が増えた。買い物カゴの中身では、女性客がお総菜、若い男性は即席麺、高齢男性ならお弁当であろうか。いわゆる“中食(なかしょく)”の急増が係数を押し上げた。

節約志向を背景に家飲み需要が拡大するなか、ビールなどに比べて割安な缶チューハイの需要が高まっている。

ビール各社が、中身の濃い缶酎ハイを増産しているというのだ。その人気の秘密はなんといっても“割安感”なのである。

Å社が昨春、アルコール度数9%の新ブランド『もぎたて』を発売したところ、“おいしい”、“安く酔える”として人気が高まった。

S社はアルコール度数9%の主力ブランド『-196℃ストロングゼロ』の販売目標を引き上げた。『氷結ストロング』を展開するKビールも、昨夏に生産を大幅に増やした。

 

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高アルコール度数の缶チューハイを各社が強化することで、昨年の(缶チューハイの)国内市場規模は1億6400万ケースと、前年比で9%増だった。

この夏も全体を牽引するのは高アルコール度数の商品ということになるのだろうか。同じ容量の缶ビールと比べて3割安く、アルコール度数は2倍も高い。その“割安感”がハンパではない。

かくいう私めも、この春先から各社の『ストロング』にハマっている。上述の割安感のみならず、“おいしさ”につられてついつい飲み過ぎてしまう。

消費の冷え込みで、「安く酔える」という商品性が、消費者の節約意識と合致するのだろう。高アルコール度数の商品が缶チューハイ市場全体に占める比率は、昨年34%。その5年前に比べて、13ポイントもの上昇なのである。

一方、ビール類の市場では、国税庁が6月から酒類の安売りへの規制を強める方針を打ち出したことで、ビール各社が年初から流通業者へのリベートを減額した。

その結果、ビール類の店頭価格は値上がりし、消費者の購買意欲が低下した。
メーカー各社はビール類の市場縮小を補うべく、缶チューハイ市場を掘り起こし、収益の改善につなげる狙いだ。その応援と期待をこめて、今晩も『ストロング』を買って帰ろう。