サルトル・マルクス・讃美歌
先日、何気なく観たテレビの歌番組で、ミュージシャン・俳優の竹原ピストルさんが耳馴染みの曲を熱く歌い上げていた。それは、昨冬のライブから竹原さんが歌い続けている楽曲なのだという。
18世紀後半に作られ、世界中で慕われ愛唱されている讃美歌『アメイジング・グレイス』に、竹原さんが自身の思いを日本語歌詞として添えた祈りの歌であった。
(まるで)すべての人の想いが、竹原さんの声にのりうつったかの如く、力強さを増し圧倒的なパフォーマンスに結実していた。
『アメイジング・グレイス』といえば、歌手・女優の中島美嘉さんを連想してしまう。
2001年、デモテープを聴き彼女の声に惹かれたソニー・レコードのスタッフによって、中島さんは(ソニー主催の)ボーカルオーディションに出場できることになり、見事に合格した。
テレビドラマのヒロイン役オーディションでは約3,000人が応募の中、中島さんが勝ち抜きヒロインとして抜擢された。
中島さんは、射止めたテレビドラマ『傷だらけのラブソング』にて女優としてデビューし、劇中歌で『アメイジング・グレイス』をアカペラで美しく歌い上げていた。
<サルトル、マルクス並べても 明日の天気はわからねえ ヤクザ映画の看板に 夢は夜ひらく・・・♪>。
シンガー・ソングライター三上寛さんが自作の詞で歌う『夢は夜ひらく』(作曲・曽根幸明)である。
竹原ピストルさんの弾き語りをテレビで観るたび、いつも私の頭の中に誰かが浮かんでくるのだが、それは誰だかわからないままであった。
ようやくその答えが見つかり、三上寛さんであることが判明した。
三上さんと竹原さんは玄人ウケをする。同業のシンガー・ソング・ライターたちの支持が多い。数ヶ月前もテレビで、玉置浩二さんが(本人を前に)竹原さんを賛美していた。
最近、三上寛さんをメディアでお見かけしていないが、お元気であろうか。
この記事を書くため、三上さんのことをネット検索したら、青森県立五所川原高等学校
在学中に生徒会長を務め、ザ・タイガースやブルーコメッツなどのカバーバンドを組んで
いたらしい。
年代的には問題がない。でも、三上さんのキャラとはどうも結び付かないからおもしろい。
三上さんの作風は、怒号のような荒々しさから、ささやくような穏やかさまでを湛える情念に満ちた歌声なのであるから。
余談であるが、岡林信康さんの楽曲の原点は讃美歌だと信じている。型破りな牧師を父に持ち、幼い頃から賛美歌のメロディーに慣れ親しんだことであろう。
メッセージソング『友よ』や『山谷ブルース』も、聴きようによれば『アメイジング・グレイス』と同じに感じてくる。