日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

ハンデ逆手に個人主義を貫く

 

よちよち歩きをするペンギンの群れから、一匹を離すとすぐに速足で、仲間のもとへと駆けだすそうだ。

また、進行方向に障害物を置くと、群れは二つに分かれず全員が同じ道を進んでいくとのこと。

日本では聖徳太子の時代から、個よりも和が重んじられ貴いものとされる。
スポーツの世界も同じようだ。

ところが、(昨年に)日米通算でピート・ローズ氏の大リーグ最多4256安打を超えた大リーグ・マーリンズイチロー選手はその逆をいく。

2001年にイチロー選手は米国へ渡り、マリナーズで日本選手初のMVPになった。

<人との比較は意味がない>との意志で、イチロー選手は徹底して個を磨いていった。
人の評価に影響されず、他人が提示した型に入ることを拒否したのだ。

 

1873

 

チームが負けても自分が4安打すればうれしい、と口にしたこともあるとか。
そのため、個人主義者と見られてチーム内にも反感を持つ者がいたそうだ。

判断軸は常にイチロー選手の中にあり、人を寄せ付けない。そのうえで自分を客観的に語る。取材する側からも緊張を伴ったようだ。

<問いには内容のあるものを求め、向き合うことは簡単ではなかった>という。

イチロー選手の信念こそが、日本のスポーツ界に足りないものなのかもしれない。

イギリスの産業革命で発明された蒸気機関は、大きくなるほど効率が良くなるという。
当時、新興国・ドイツには巨大資本がなく、うまく活用できなかったらしい。

小規模の企業家しかいなくて、職人技術しかないところでは、融通の利く小型機関が強く望まれた。

そのハンデを逆手に取ったドイツは、技術を積み上げガソリンエンジンを生んだ。
そして、1890年頃にダイムラーらが、自動車を発明する。

 

1874

 

勝負の世界でも、自分の力で状況を打開しなければ世界で通用しない。
選手が個として、突き抜けることが必要になってくるのである。

個にこだわるイチロー選手も自ら“和”を前面に押し出し、日頃のクールさを封印して熱く戦ったことがある。国別対抗戦WBCの1、2回大会でリーダー役を務め、連覇に導いたときである。

日本でプレイしていた若手時代から、他の選手に比べて体格が大きくはなかった。イチロー選手がメジャーへ行き、大活躍できるとどれだけの人が予測できただろうか。

野茂投手がメジャーで活躍後、野手として渡米した日本選手はイチロー選手が初めてだったのではないだろうか。

怪力の大男たちがウジャウジャいる世界で、ホームランを追求していないイチロー選手は、日本よりはるかに広い球場をうまく使いこなした。そして、「走・攻・守」における美技の数々で多くのファンに感動を与えた。

普通の打者なら(打ち損じと)苦笑いするボテボテの内野ゴロや、野手の間にフライがポテンと落ちるテキサス安打を放った時、イチロー選手は塁上でドヤ顔をしている。