日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

細切れしない1日の醍醐味は

 

2017年卒採用の選考解禁はこの6月なのか。就活に忙しい方もおられるにちがいない。

昭和40年代は日本の高度成長期。今とちがい、さまざまな業種で企業が躍進し、採用も活発だった時代であった。

人気企業の多くに、真偽不明の小話があった。高度成長期ならではの逸話や都市伝説だ。

もっとも有名なのはサッポロビールで、面接に出席した学生がかたくなに沈黙を守り続け、面接官から「君はなぜ黙っているのかね?」と訊かれた。質問に対し学生は、「男は黙ってサッポロビール」と言い放った。

その後その学生は面接に合格して、同社で勤務したといわれる。

 

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森永製菓の面接では、「♪チョッコレート、チョッコレート、チョコレートは」と歌い始めた学生が、その先の歌詞は“明治”だと気づいた。引っ込みがつかず、「チョコレートは森永」と締めくくったら合格したという。

また、日産自動車の面接で、GNPとは何かと聞かれた学生が、答えられず咄嗟に考えたあげく、「がんばれニッサンパルサー」と答え合格した・・とも。

それらの話では、体育会系のあっけらかんとした学生を連想してしまう。

一般に広まり職場などでも使われる言葉には、スポーツからのものがいくつかある。
サッカーなら“レッドカード”や“オウンゴール”。オウンゴールは自陣ゴールへ蹴り込んでしまう自業自得のことである。

ラグビーの試合終了をいう“ノーサイド”は、対立を収めるときの常套句であり、急場をしのぐ代役はリリーフ。また、“続投”の場合もあり得る。

 

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深い味わいを“醍醐味”という。こちらはスポーツではなく、食品からの言葉らしい。

醍醐とは、乳を精製して作った乳製品のことだという。古代日本では、牛乳やチーズのような乳製品が、貴族らの間で薬として重宝された。もっとも、広く普及するのは明治期以降のことだったようだが。

映画監督・澤井信一郎さんはシナリオを読み込むとき、赤い色で“日替わり線”を書き入れるという。いくつかの場面で構成される1日を、次の1日、さらにその次へと区分けしていく作業なのである。

それをすることにより、始まりから結末へ至る時間の流れがつかめ、作品への洞察が深まるのである。

完成度を高めるには場面を細切れにしないで、<1日分をじっくりやるのがいい>と語っている。

老いも若きも就活中の学生さんも、与えられた1日分の時間は同じである。
区切りを意識して、醍醐味のある1日を過ごせれば幸いだ。