日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

山田洋次監督に学ぶ温故知新

 

若かりしき頃、松竹映画の喜劇監督・前田陽一監督と一度だけ、酒を飲みながら話をしたことがある。

当時、寅さんシリーズで活躍中だった山田洋次監督の話になり、前田監督は「ボクの方があの人より上なんですよ」と言った。

<山田さんは“ヨウジ(次)”でボクは“ヨウイチ(一)”だから>と。
前田監督の茶目っ気ある笑顔が忘れられない。

映画の話や撮影の裏話も聞いたが、その会話だけがハッキリと記憶に残っている。

 

1853

 

惜しくも前田監督は1998年に亡くなられたが、今も山田監督は活躍されている。

いくつものヒット作を発表。この映画が公開されたときも大きな話題になった。
幸福の黄色いハンカチ』である。

任侠映画からのイメージ脱却時期であった高倉健さんを主役にすえて、映画初出演の武田鉄矢さんと、若手売り出し中の桃井かおりさんが見事な絡みを見せた。

第1回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(高倉健さん)・最優秀助演男優賞(武田鉄矢さん)・最優秀助演女優賞(桃井かおりさん)・優秀主演女優賞(倍賞千恵子さん)・・・など、ほとんどを受賞している。

1971年にニューヨーク・ポスト紙へ掲載された、ピート・ハミルさんのコラム『Going Home』が原作のようだが、私にはその20年前に日本公開された映画がモチーフになっているような気がしてならない。

監督がジョン・フォードさんでジョン・ウェインさん主演による、往年の西部劇『黄色いリボン』である。退役間近の騎兵隊指揮官が、若い士官たちの恋心を見守るシーンなどが、『幸福の黄色いハンカチ』と重なる。

 

1854

 

山田監督は、小津安二郎監督の『東京物語』も(『東京家族』というタイトルで)、時代背景を変えて忠実に焼き直している。

主演の老夫婦の配役は菅原文太さんと市原悦子さんの予定であったが、東日本大震災により公開が延期となったことなどで、橋爪功さんと吉行和子さんに変更された。

菅原文太さんで実現されていたら、映画のイメージも変わっていたかもしれない。

とはいえ、橋爪功さんと吉行和子さんも名優である。小津安二郎監督の『東京物語』のトーンを彷彿とさせてくれた。

昨年、山田監督は、『東京家族』での老夫妻とその子供夫婦役で演じた8人を、そのときのキャストとシチュエーションのままストーリーを組み替え、まったく別な作品を製作した。『家族はつらいよ』である。

山田監督にとって、『男はつらいよ』シリーズ終了から約20年ぶりの喜劇映画になるそうだ。

男はつらいよ』シリーズでは、寅さん、おいちゃん、おばちゃん、タコ社長、御前さまなどを演じた名優たちがすでに亡くなっているが、『東京家族』からの8人とは形を変えて再会できた。

東京家族』で吉行和子さん演じる老夫人は亡くなったが、『家族はつらいよ』では元気に笑わせてくれる。映画『家族はつらいよ2』は昨日から公開されているようなので、機会があればぜひ観てみたい。

 

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