日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

宇宙エレベーターのスタート

 

炭素繊維「カーボンナノチューブ(CNT)」は、(近年開発が進む)日本発の先端素材である。髪の毛の1万分の1の細さなのに、鋼鉄より丈夫で軽いという特徴がある。

炭素は、温度や光など条件のちがいで、電気の通りやすさが変化する“半導体”の性質を持つ。地球上の様々な物質をつくる基本元素の一つである。人間や動物の体をつくるたんぱく質や脂質にも(炭素が)含まれるという。炭素に水素などが結びつくと、石油などの化石燃料になる。

CNTは、炭素が六角形に結びつき、筒状に丸まった極細の炭素繊維である。
直径は1ナノ~数十ナノ・メートル程度だという。ちなみにナノの単位は10億分の1。
軽くて柔らかいが、両端を引っ張った場合の強度は鋼鉄の20倍、熱の伝わりやすさは銅の10倍だという。

電気や熱を伝える効率が高いCNTは、デジタル機器に使われる集積回路の小型化や、送電線、耐熱ゴムなどの改良に役立つ。

 

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CNTは、瞬時に充放電する蓄電装置「キャパシター」の電極に使うと、性能が大幅に向上するといわれる。それは、ハイブリッド車電気自動車などの重要な部品への応用はもちろんのこと、宇宙でも応用の場が広がる。

今月の9日に日本の無人補給船「こうのとり」6号機が、種子島宇宙センターから打ち上げられた。“こうのとり”には、実験用の超小型衛星が積まれている。

役目を終えた衛星が、宇宙ごみ(デブリ)にならないようにと、落下させる方法を実験する衛星。また、3Dプリンターで作った長距離通信試験用衛星なども搭載されている。
そして、来年早々には未来技術である「宇宙エレベーター」の基礎実験が始まるというのだ。

 

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宇宙エレベーター”は、高度3万6000キロ・メートルの静止軌道上から、上下それぞれに数万キロ・メートルのケーブルを延ばし、人や物資を往復させるという壮大な計画である。大手ゼネコンの大林組が大学などと共同研究して、2050年の完成を目指している。

それには、鉄よりはるかに強くて軽い材質のケーブルや、宇宙で数万キロ・メートルに及ぶケーブルを真っすぐに延ばす方法などを開発する必要がある。

衛星は、縦横と奥行きがそれぞれ10センチの箱形を2基 合体させた形で、片方に太さ0.4ミリ・メートルの釣り糸を巻いたリールが入っているそうだ。
ISSから放出した後、宇宙空間で二つに分離し、糸を最大100メートル延ばす。

<宇宙で糸が予定通りに延び、データが得られればとても貴重だ>とのこと。
私には、空想でさえ及びもつかない遠大な計画に思えるが、もうすぐその第一歩が現実化されるという。今のタイミングで、「カーボンナノチューブ(CNT)」という夢のような先端素材が開発されたことへの縁にも、感慨深いものがある。