日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

大晦日の夕方に人類が現れる

 

“驚くこと”を表現する慣用句がある。
たとえば、“やぶから棒”、“寝耳に水”、“ひょうたんから駒”。

“やぶから棒”と“寝耳に水”が使われる場面では、対応にあたふたする姿が浮かぶ。
“ひょうたんから駒”は、普通で起こりえないような意外性が加味される。

“青天の霹靂”もある。
組織などの人事で何人も飛び越え抜擢されたり、噂や批評もないうちに受賞したりするケースに使われる。私にとって、ボブ・ディランさんのノーベル文学賞が、まさしくこれであった。

“青天の霹靂”の語源がおもしろい。
中国南宋陸游の詩が出典なのだという。

病んで床に就いたまま秋を過ごした詩人が、突然起きて書き出す様子から生まれた。
それは、土中に潜んでいた竜が雷鳴を轟かして現れるのに喩えられ、その詩人“筆の勢い”が“青天の霹靂”に結びついた。

 

1739

 

木からリンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見したニュートン
その瞬間は、“青天の霹靂”の気持ちになったのだろうか。

リンゴの話の真意は別にして、ニュートンの功績にはまちがいないだろう。
<壮大な天体の運行も、リンゴが地面に落ちるのも、同じ法則に支配されていると発見した>。別の世界と思われていた地上と天界は、これでつながったという。

<引力の やさしき日なり 黒土に 輪をひろげゆく 銀杏の落ち葉>。
昭和期の日本の歌人・大西民子さんが、日常の風景をあらわした短歌である。
見慣れた景色と宇宙が融合するような、のどかでふしぎな世界だ。

地球の誕生から46億年。その時間を1年に凝縮してみれば、1月1日午前0時に生まれた地球に人類が姿を現すのは、12月31日の晩だという。この師走もアッという間に大晦日を迎えることだろう。今の時期から、あと少しで人類誕生の瞬間だ。

 

1740

 

今年も“新たな生命”が多く誕生している。
「今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング」(明治安田生命保険より)というのがある。

男児の1位は“大翔くん”と書いて、“ひろと”、“はると”“やまと”などと読むそうだ。
女児は“葵さん”がトップで、“あおい”、“ひまり”、“あお”と読む。

新生児に限らず、今の幼児の名前は難しい漢字や読み方がわからず、思わず訊き返すことがよくある。

昭和のおじさんから見て、名前ランキングで気になるものもあった。
女児の名前で、「子」のつく名は100位までに、莉子さん、桃子さんしか見つからなかった。(私の孫娘にも「子」はついていないのであるが)。

かつて、ガリ版刷りのクラス名簿には、「子」がずらりと並んでいたものだ。
「子」のつく女の子がこれほどまでに、希少化することは想像もできなかった。
まさに、“青天の霹靂”の思いである。

しかし、どの名前も親心がこもったすてきな贈り物であり、どの子も気に入ってくれたらうれしい。

名前は人生そのもので、<人は名前を生きる>といってもいいように思う。
人類の歴史を絶やさぬためにも・・・。