日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

テレビ離れなのに良い視聴率

 

1946年、ラジオ番組『のど自慢素人音楽会』としてスタートした『NHKのど自慢』。
すでに70年超えの長寿番組である。審査結果を鐘で知らせることが売り物だが、最初からそうではなかったらしい。

“のど自慢”の審査は、開催地のNHK・放送部長や、東京の芸能番組のプロデューサー・ディレクターが、会館の別室に審査室を設け、テレビ画面を通して審査するとのこと。

歌のうまさが大きな基準になる。また、朗らかに笑顔で歌っていると合格しやすいともいわれる。

出場者が歌っている最中に審査が行われる。その結果は鐘を鳴らす担当の方に伝わり、鐘を鳴らしてもらうというしくみだ。

番組開始当時にはディレクターが、歌をやめてほしい時に「結構です」と伝えていたという。
しかし、歌の途中で「結構です」と言われる出場者たちは、「良いです。上手です」などと勘違いしてしまうケースが多く、誤解を生まないために鐘を鳴らし始めたそうだ。

 

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この数年、テレビ視聴に関する話題も(良いのか悪いのかわからぬ)「結構です」調のお話が多すぎる。以前、私は「視聴率の曖昧さ」を記事にしたことがある。その後も、インターネット視聴番組の影響等、不透明な部分が増しているような気がしてならない。

“テレビ離れ”、“深刻な危機感”などの言葉を連ねて、スマホ向け番組無料配信を紹介するネット記事があった。

<若い世代のテレビ離れに歯止めがかからない中、テレビ各局がスマートフォン向けに番組を無料配信する新規事業に本腰を入れ始めている>のだと。

そして、テレビ朝日とインターネット企業が共同で始めた「Abema(アベマ)TV」の記述では、テレ朝報道局と連動したニュースやバラエティー、ドラマ、アニメなど二十数チャンネルをストリーミング形式で無料配信、とある。

今月2日に、スマホタブレット端末向けの番組視聴アプリが1000万ダウンロードを達成。1週間の視聴者数も約300万人まで増えているのだという。

話だけ訊いて(読んで)いると、若者すべてがテレビを観なくなるような勢いだ。

 

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かたや、同日の記事ではドラマ録画率はやはり高い、という内容のものがあった。
ビデオリサーチ社が行っている関東地区の視聴率調査の方法が、10月3日から変わったというのだ。

それまでは、リアルタイムの視聴率が600世帯。録画が対象のタイムシフトの視聴率は300世帯で測定してきた。その合計900世帯で二つの調査を実施し、重複分を抜いた「総合視聴率」を出す方式にしたとのこと。

録画率の高いといわれるドラマ。この秋の初回分の「総合視聴率」がいくつか紹介されていた。

『地味にスゴイ!校閲・・・』(日テレ) 通常12.9%、録画9.7%、総合21.1%。
『ドクターX・・・』(朝日) 通常20.4%、録画9.5%、総合28.3%。
『逃げるは恥だが・・・』(TBS) 通常10.2%、録画10.6%、総合19.5%。

ドラマでは、ほとんどの番組の総合視聴率が2ケタ台を記録し、録画して見る人の多いことが改めて裏付けられた。

「テレビ離れを強調し、スマホ向け番組無料配信を紹介する記事」と「総合視聴率2ケタ台のテレビドラマが堂々と並ぶ記事」で、どちらの情報が正しいのだろう。

“のど自慢”の“鐘の数”のように、白黒ハッキリつけてもらいたい気分である。