日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

遊ぶ学ぶで宇宙エレベーター

 

伝説の国語教師・橋本武さんは“遊ぶと学ぶは同じこと”として、<遊び感覚で学ぶ>ことの大切さを説いた。神戸の灘中学・高校で長く教壇に立ち、3年前に101歳で亡くなった。

教科書は使わず、中 勘助さんの小説『銀の匙(さじ)』一冊を、中学の3年間かけて精読する授業で知られた。作品に桃の節句が出てくれば、端午の節句や七夕にも説き及び、横道に大きくそれる教え方だったという。

記憶にも色々あるようだ。“ひまわりを描いたのはゴッホ”というのは一般記憶。対してエピソード記憶は、個人的な出来事の記憶といわれる。自分の生活史の記憶である。
豊富な一般記憶もそれだけでは“歩くインターネットや百科事典”に過ぎない。

エピソード記憶こそが“人格の芯”を成すとの説もある。青少年の頃のエピソード記憶をよみがえらせることで、認知症の進行を遅らせるのに役立つらしい。

 

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日本のゼネコン・大林組が、“宇宙まで到達可能な円筒形のエレベーター”を2050年までに完成させる、というプランを発表。数年前、なにげなく見たテレビで、経営者の方が少年のように目を輝かして語った。

そのエピソードが頭からずっと離れなかったが、今日のテクノロジーでそれは十分に実用可能なことだという。

日本発の先端素材として近年開発が進む炭素繊維「カーボンナノチューブ(CNT)」は、は軽い上に、鋼の100倍程度の強度を持ち、電気や熱も良く伝えることで、産業応用への関心が高まっている。

大林組は40年以内に、カーボンナノチューブ製のケーブルを使い、30人乗りの宇宙エレベーターを計画。高度9万6千キロメートルに時速200キロ、7日間で到達する。観光客は高度3万6000キロに設置するターミナル駅まで、科学者や研究者はその先まで行ける構想だという。地上から建設していくのではなく、宇宙からケーブルを垂らして建設する。

 

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昨年、(国際宇宙ステーションの)日本が建設の実験棟「きぼう」船外の宇宙空間で、JAXA(ジャクサ)が開発の新装置を使い、カーボンナノチューブの耐久性試験を行っている。

静岡大学工学部は今月、国際宇宙ステーションから放出予定の超小型衛星「STARS―C」を公開したという。将来、宇宙ステーションと地上をケーブルで結ぶ“宇宙エレベーター”の実現に向け、“テザー”と呼ばれるひもを伸ばす実験をする装置だ。

宇宙貨物船で宇宙ステーションへ運び、「きぼう」から放出。親機と子機を分離した後、テザーを伸ばして詳細なデータを記録するものだという。それは“宇宙エレベーター”や、“導電性テザー”による宇宙ごみの回収につながる実験である。

数々の高層建造物に挑んできた大林組。一般記憶では及びもつかない遠大な計画と思われたが、(実現に向け)一歩一歩前に進みだしていることはまちがいない。
エピソード記憶に目を輝かせた経営者の方や私も、その実現の瞬間は存命でないだろうが、今から楽しみでワクワクしてしまう。