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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

“言葉少な”の嫌われ方好かれ方

人間

 

以前、<身近な人の嫌いな口癖は?>という内容のアンケートをしていた。
約2万の回答の中から、2位は「お金ない」で1934票。そして、4540票という大差で1位に輝いたのはたった一語の「は?」であった。4~5人に1人の割合である。

納得できない、または怒りを表すときに使う人が多いという。
短いだけに伝染してほしくない口癖かもしれない。年齢に偏りもないそうだ。
この社会、言い過ぎもいけないだろうが、「は?」だけでは侘しい気もする。

それでも<完璧が達せられるのは、付け加えるものが何もなくなった時ではなく、削るものが何もなくなった時である>。『星の王子さま』の作者サンテグジュペリさんは言ったとか。

<一人の日々を深くするものがあるなら、それは、どれだけ少ない言葉でやってゆけるかで、どれだけ多くの言葉でではない>。こちらは、昨年75歳で亡くなられた詩人・長田弘さんの、重みある言葉だ。

 

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詩、散文とも簡潔な美しさの際だつ長田さんのお話はおもしろい。
<にぎやかの反対は、静かじゃない。さびしいなんだ>とも。

『言葉のダシのとりかた』なる詩まで残している。

<まず言葉をえらぶ はじめに言葉の表面の カビをたわしでさっぱりと落とす。そして 血合いの黒い部分から 言葉を正しく削ってゆく 言葉が透きとおってくるまで削る>。

そのあと火にかけた鍋へ、言葉の意味を沈め、沸騰寸前に素早くすくい取り、そっと漉しとるそうだ。そこから抽出された詩と文には、ぜい肉をそぎ切った言葉の数々と、ハッとする一行が静かにたたずんでいた。

 

1606

 

ガリガリ君」が25年ぶりの値上げで話題になっていた。
そのお詫びのTV・CMで、フォーク歌手・高田渡さんの『値上げ』がCMソングに起用された。放映期間は2日間のみだったため、私は観られなかった。

高田さんが急逝されて11年。56歳であった。
1969年にデビュー。山之口貘さん、草野心平さんらの現代詩に、フォークのスタンダードを組み合わせ、時事の話題を滑稽に、ときには辛辣な作風が懐かしい。

歌と酒と吉祥寺を愛した高田さん。時の流れにかかわりなく飄々と歩き、寡黙な印象でエピソードも多い。

酔ったステージで、黙ったままギターのチューニングを続ける。音が整うと、歌わずに去った。伝説的すぎるため、真意の程は定かではない。

送る会が都内で開かれた際、1400人のファンが集まり、立ち見客がロビーにあふれたという。その人を慕う心は、別れを告げる場面に表れるのだろうか。

井上陽水さん、なぎら健壱さんら音楽仲間40人以上が高田さんの持ち歌を7時間も歌い継いだという。出演者も観客と同額の入場料1000円を払い、楽屋もなかった。
多くの人が舞台に花を供え、酒を手向けた。

寡黙で酒好きの“フォーク界の吟遊詩人”に派手さはまったくない。
ガリガリ君」のおかげで、その歌声がテレビに流れていたことに感謝である。

 

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