日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

3月から4月への教訓とは?

 

今は死語なのかどうか。<月月火水木金金>という言葉がある。
休み返上で働くことを、こんなふうに呼んでいた。

1週間やりすごして、やっと土日が・・・と思った矢先、また仕事が入り休みなしの週が連続する。景気の良い時代であったが、人手不足のツケがよく回ってきた。
どこの会社も似たり寄ったりで、“休みなし”を自慢するような同僚や先輩がたくさんいた。

平日の好きな曜日をたずねるアンケートがあった。金曜の次に好きなのは水曜だったという。週の中日で、最近は水曜をノー残業デーとする企業もあるとか。

疲れたと思ったころ、土日がきちんと回ってくるのがうれしい。いい仕事のためには、やはりいい休みをとりたいものだ。

 

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将棋棋士・内藤國雄(くにお)九段の著書『三段地獄』によると、将棋の世界で四段と三段は天と地ほど違うそうだ。四段に昇段して晴れてプロ棋士になるためにと、俊才たちが狭き門を前にせめぎ合う。

プロ入り前、内藤さんが負けて帰ると母親はよく言った。
<相手の人が喜んではる。はよ寝なさい>と。
その慰め方を怒ったこともあったが、あとで、人生に必要な“気持ちのゆとり”を教わったと感じた。

内藤さんの通算成績は、1132勝1000敗。千の大台は歴代3人目だったが、勝ち数も1132勝で歴代6位だという。“勝ちも勝ったり、負けも負けたり”なのだ。

負ければ“運がなかった”と思い、勝ったときは拾い勝ちでも“才能で勝った”と思い込んだという。鍛錬と精進あってのことだが、<自分に嫌気がさすのが一番いけない>と言い切る。“千勝千敗”に裏打ちされた人生哲学だけに、説得力がある。

勝負師でなくても、大小の勝ち負けを連ねて人は生きてゆく。勝ち続けも、負け通しもない。勝ち組、負け組という言葉に心を乱されたくはないものだ。

 

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まったく同感である。
野球ファンが<サッカーはなかなか点が入らない>と言えば、サッカーファンは<野球の試合は間延びしている>などと不平を言う。たしかに、ふたつの球技の違いをあれこれ比べるとおもしろい。

経営学者・ピーター・ドラッカーさんは企業組織のあり方にあてはめて、その違いを考察しているという。

野球型は守備位置や打順が固定された分業体制である。選手は打席やマウンドで個人技を求められる。サッカー型のポジションは、状況に応じ変化する。ディフェンスが前線の攻撃に参加するなど、機動性や協調性が大切になる。

どちらにも強みと弱みがあり、一方が正しいというわけではないが、激変する環境に対応するにはサッカー型が向くようだ。上司の指示に黙々と従うのではなく、臨機応変に現場で判断して欲しいということだろう。

 

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神童と呼ばれたオランダの法学者・グロチウスさんは、11歳で大学に学び、15歳で法学博士となり、16歳で弁護士を開業している。

素朴な田園風景を描く米国の画家・グランマ・モーゼスさんは、半生を農民の妻として過ごしたという。初めて絵筆を握ったのは75歳であった。

日だまりに優美さを競う早咲きの花があると思えば、木陰にそっとほころぶ遅咲きの花もある。

10年前、初土俵から20年目で新十両昇進を決めた力士がいた。大相撲の出羽の郷である。34歳5ヶ月は戦後の最年長記録であった。ケガに泣き、後輩にも次々と番付を越され、ちゃんこ番と洗濯の日々が続いた。<相撲が好きだから・・・>こそ続けてこれた。

旅立ちの春、多くの若者が社会人の仲間入りをすることであろう。早咲きか、遅咲きかは天にまかせて、好きで選んだそれぞれの土壌で思うように身を投げ出せれば幸せであろう。

上述のグロチウスさんに臨終の言葉が残っているそうだ。
<私は多くのことを企てたが、何ひとつやり遂げなかった>のだと。
早熟の天才にして、しかり。人の一生はなかなかむずかしそうだ。