日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

デジタルクローンに託す想い

 

コンパニオン(companion)の意味は派遣接客業とはちがい、(ある行動を共にして、親密な関係にある)仲間や友のことのようだ。

その語源は中世ヨーロッパで、ラテン語のクム(共に)とパニス(パン)を合わせ、“パンを分かち合う仲間”となったのが始まりだという。かけがえのない家族や友こそが、コンパニオンなのであろう。

“知っているつもり”の言葉の意味を掘り下げると、意外な発見がある。
“個人の人工知能”のことが「パーソナルAI(PAI)」と呼ばれ、関連する“デジタルクローン”なる言葉を知ったのは、昨年末のこと。
何気なく見つけた(朝日新聞デジタルの)記事であった。

 

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PAIで作った自分のデジタルクローンに、自分の行動を記憶させて“自分を残す”ことができるというのだ。パソコンのモニターに自らの顔。話しかければ、自らの声の合成音声が応える。多く語れば、PAIの学習能力で自分のデータが蓄積されるようだ。

PAIはSNSの情報やメッセージ、位置情報を取り込み、その人の行動、趣味、癖、人との関係や口調などを自然に学習していく。そして、デジタルクローンが“その人っぽく”活動するようになる。

デジタルクローンは過去の自分さえも再現できるという。自分が過去の自分と対面できるだけでなく、自分の子どもが、小学生や中学生のときの自分のデジタルクローンと会えるようにもなるとか。思わず、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界を連想した。

 

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そして、本人の死後もデジタルクローンは動き続ける。プログラムの中で、人は永遠に生きられるからなのだという。ただし、デジタルクローンを完成させるには40~50年かけて、毎日数分PAIとの会話が必要なようだ。

アメリカのテラセム運動財団では、故人を復活させようと、写真やメールなどのデータをPAIに学習させている人もいる。亡くなった人と言葉を交わすことが目的なのだという。

<誰にでも残したい多くの物語や思い出がある>とのことで、すでにデジタルクローンの作成を始めている。

 

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人型ロボット・“ペッパー(Pepper)”などの人工知能(AI)へ、生前に録音した声やしぐさを学習させ、ロボットが再現することで、大切な人を亡くした遺族に寄り添う試みも行われているようだ。

そのプログラムは永遠には残らず、49日で自然に消えるという。その間に少しでも<心の整理を手助けできたら>という想いからなのだ。

死者に会いたいとの願いは、いつの時代もあるはずだ。
そういえば、手塚治虫さんのアニメ『鉄腕アトム』が誕生したきっかけも、交通事故死した息子に<そっくりのロボットを・・・>という(物語の)設定であった。