日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

ヒマな時間をどうつくるのか

 

自分が自由に使える時間のことを“可処分時間”というらしい。
任天堂の社長であった岩田聡さんは8年以上も前から、“可処分時間”という発想で経営を語っていたという。

デートや旅行、家族と過ごす時間・・・。手ごわい競争相手がいるからこそ、魅力的な商品をもっともっと作ろう、との意向であったのだろう。

岩田さんの情熱で、ゲーム機は健闘している部類に入るだろうが、可処分時間の争奪戦に関しては、スマホ(スマートフォン)に軍配が上がったといえるかもしれない。
ネット空間に入り浸る人たちが増えている。8年前といえば、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が日本に台頭したころであろう。

 

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音楽の楽しみ方もすっかり様変わりをしている。音楽CDをプレーヤーで、パソコンに取り込んで、音楽配信サービスで曲やアルバムを購入してスマートフォンやパソコンで、などと聴き方がどんどん広がっている。

先日おもしろい話を訊いた。久しぶりにCDの新譜を購入しようと思い立った人が、近隣の販売店を探しても見つからなかったというのだ。いったいどこで買えるのか? と悩んだ末に、Amazonからのネット購入で手に入れたとのこと。

詳しくはないのだが、今では月額千円程度の“定額制音楽配信サービス”で、聴き放題というところもあるとか。定額制音楽配信サービスの大きな特徴は“ストリーミング再生”にある。これは、音楽データをスマホなどにダウンロードして“オフライン再生”するのと異なり、インターネット上の音楽データを逐次ダウンロードしながら再生する方式になる。

 

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動画配信も今は乱戦状態なのだという。
2015年9月に日本へ上陸した「Netflix」は全世界で7000万以上の有料会員を持つ、世界最大の映像配信事業者である。

それを向かいうつ日本勢は、NTTドコモとエイベックス・グループが共同展開する「dTV」と14年4月に日本テレビが買収した「Hulu」。その3社に対抗するように、Amazonが映像配信「アマゾン・プライムビデオ」を提供している。

映像配信開始に伴う値上げはなく、既存のプライムと同じ年額3900円で利用できるのである。他社より安価で、一気に攻め込んできた。

国内有料放送のテレビ業界には“300万の壁”があるといわれる。日本は<NHK以外のテレビはタダ>だという一般的な感覚が強い。その中で、BS放送のWOWOWとCSのスカパー!などが、有料放送を行っている。

昨年5月、スカパー!の会員数は、346万8373人。WOWOWは280万1973人であった。つまり、スカパー!は“300万人台”、WOWOWは“300万人の手前”で、加入者数が頭打ちになっている。これが“300万の壁”なのである。

“映像にお金を払う”ことに消極的な日本人が、配信サービスにどれだけお金を払うのか。現状では未知数であるが、この先の成り行きはとても楽しみである。

 

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<今、世論はSNS抜きに語れないが、そこに貼り付いてしまう人も多数生まれた>と語るのはネット掲示板2ちゃんねる」創設者の山本一郎さんである。

ネット空間の住人は、同じ言説を繰り返して世論を作り、圧倒的な調査(検索)力で過去の事実を掘り起こすのだと。東京五輪パラリンピックの大会エンブレムでは、過去の似たデザインをあぶり出し、白紙撤回に追い込んだ。

その発信力や鑑識眼は進歩でもあるが、懸念もあるという。一部のネット住民は、家族との会話や仕事、睡眠も削り可処分時間をネットに注ぎ込む。また、同好の人とだけ付き合い、他人への理解や関心をなくすこともあるだろう。

私自身、ネット利用の期間は、(インターネット以前の)パソコン通信からである。それまで大好きだった読書がまったくできなくなっている。

急流のようなネット空間と逆に、現実の社会はゆとりを求めているといわれる。緩さを求める現実との落差の中、自由にできる時間の使い道を改めて考えてみることもよさそうだ。