日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

レジェンドは北極星のようだ

 

1月は往(い)ぬ、2月は逃げる、3月は去る。
古くからこのように月の名へ頭韻を踏み、冬から春へと流れる<時間の速さ>を表現してきたようだ。

まだ寒い日は続くが、立春が近づくと厳しい冬も、暦のうえでは残りわずか。
<時のすぎるのが早いか遅いか、それに気づくこともないような時期に、人はとりわけて幸福なのである>と、ツルゲーネフさんは『父と子』に記した。

この季節、寒い夜空に輝く星を凍(いて)星や荒星などと呼ぶらしい。その真北で動かぬ北極星は、昔から旅や航海の目印となってきた。
作家・井上ひさしさんは、評論家・加藤周一さんの存在の大きさを北極星にたとえ、<加藤さんを見て自分がいまどこにいるか、ずれていないかを確認してきた>という。

 

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本日はプロ野球12球団の春季キャンプが、沖縄、宮崎、米国の各地でスタートした。
球場のバックスクリーン直撃のホームランは、飛距離が(推定で)130メートルや140メートルともいわれる。

雪山の競技場では、それと逆の美しい放物線が見られる。まるで球場のスコアボード上方から人影がとび出し、打者に向かって飛行してくるようなものである。緑の息吹く球春を楽しみにしつつ、銀世界に飛ぶ勇姿にも胸を焦がしたい。

43歳の葛西紀明選手は、札幌市で行われるスキージャンプ男子のワールドカップで3位に入り、みずから保持する最年長表彰台の記録を更新した。

 

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札幌市の大倉山ジャンプ競技場ラージヒルで、葛西選手は1回目のジャンプで、有利な向かい風のなかで<完璧なジャンプができた>と138メートル50を飛び、3位につけた。

2回目のジャンプは134メートルのジャンプであったが、美しい着地で飛型点では出場選手中、最高点を挙げるなど2回のジャンプの合計で3位に入ったという。
これで、みずからが持つワールドカップの最年長表彰台の記録を、43歳7か月に更新した。

葛西選手は30日の朝に第一子の女の子が誕生したばかり。
<子どものために絶対に表彰台に立とうと思っていた。妹を亡くし悲しい思いをしていたが、これからは新しい家族のために頑張っていきたい>とのコメントである。

 

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スキージャンプの選手は20代がピークで、40歳を超えて現役で世界のトップレベルで活躍している選手はめずらしいといわれる。

葛西さんの活躍を聞く度に、私は元プロボクサーの輪島功一さんを連想してしまう。
土木現場で働きながらジムに通いはじめたのは24歳で、WBAジュニアミドル級の世界王者になったのが32歳9か月であった。リアルタイムのテレビ観戦で、<輪島さんはどえらいことを成し遂げた>と私は(子どもながらに)おどろいていた。

まだまだ現役である葛西さんには昨日(31日)、2つの記録が新たにギネス記録に認定され、認定証が手渡されたそうだ。

ギネス記録の認定内容は、<葛西選手のジャンプのワールドカップ個人最多出場が488回と、ノルディックスキー世界選手権のジャンプに最多の12回出場>という2つの記録だという。

大倉山ジャンプ競技場で開かれた授与式で、2つの記録の認定証を受け取った葛西選手は、<このような名誉ある証をもらい大変感激している。これを励みにこれからも頑張りたい>と話していた。