日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「いたちごっこ」はエンドレス

 

評論家・河盛好蔵さんの著書『夫婦十二ヵ月』(1962年)の中に、<「亭主は達者で留守がよい」という生活を心から楽しんでいるような、呑気そうな細君だった>という文面がある。

テレビCMの<亭主元気で留守がいい>が流行したのは1986年のことなので、24年前から存在していたフレーズのようだ。河盛さんが書かれた時代、奥様方には“亭主の留守”を楽しむ生活の余裕はなく、現代は現代で共働きの世帯が増えている。
おそらくわずかな隙間の、あの頃ならではの流行語だったのかもしれない。

時は移り今から10年前、女子高生をはじめとする若い人に方言が人気だったという。
“でら(とても)かわいい”、“ばり暑いら”(とても暑い)などのメール文が、携帯電話やパソコンの間を行き来していたそうだ。“遊び感覚の年頃のこころ”には、共通語にはない温かみが新鮮に響いたのだろう。

 

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江戸時代の“いたちごっこ”は、子どもたちが互いの手の甲をつねり合う遊びだったという。その素早い動きは、イタチが食いつく動作に似ていた。つねられる方の手は交互に延々と重ねていく。いつまでも終わらず「進展がないこと」の喩えに使われるようになった。

現代の“いたちごっこ”は残念ながら、悪者が優勢のようだ。規制逃れをはかり、危険ドラッグを世にばらまく者たちがどこまで蔓延っているのか想像ができない。

つねられて痛いだけではすまされない状況だという。店舗廃業に追い込まれてもそれは見せかけで、姿を隠したネット販売に転じる業者がとても多いようだ。

 

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一週間前、<大麻吸った小6男児>なるニュースが大きく報じられていた。
京都市内の小学6年の男児(12)が、通学する市立小学校の教師に「大麻を吸った」と告発した。平成17年以降の過去10年間で、大麻取締法違反で小学生が摘発された事例は全国的にないという。もちろん、私も初めてきいた。

その後の捜査で、この児童は高校生の兄が持っていた大麻を吸っていたことがわかった。<高校生の兄の留守中に、部屋に勝手に入り、大麻を見つけて、9月の初めごろから4回ほど吸った>のだと。

警察が男子児童の自宅を家宅捜索したところ、児童の兄の部屋の本棚から、大麻草が見つかり、兄を大麻取締法違反の疑いで逮捕した。小学生が大麻を吸うことも驚くが、高校生がふつうに所持していることにもあきれる。

 

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調べてみると、近年は若年層による大麻事件が相次いでいるという。
無料通信アプリ「LINE」などを通じた売買もあるらしく、若者の間に(急速に)大麻汚染が広がっている可能性があるそうだ。

この事件では、生徒たちのLINE履歴に“ネタ引ける?”、“くさすいたいわー”といった大麻使用をうかがわせるやりとりも判明した。

おそらく、“遊び感覚の年頃のこころ”なのだと思うが、10年前の“方言メール”との相違があまりにも激しい。

京都市内では10月以降、大麻をめぐる事件が相次いで表面化した、と新聞記事にあった。京都市内の若年層の中に、複数の大麻ルートが存在する可能性も指摘されている。この状態は、京都だけに限らず全国ネットであろうことは容易に想像がつく。

この先、薬物汚染の記事はあとを絶たないかもしれない。しかし、“遊び感覚の年頃のこころ”を“いたちごっこ”で弄(もてあそ)ぶ悪徳業者の摘発記事が、あまりにも少ないことに私は納得できないのである。