日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

飽きっぽいことは良いことだ


“三日坊主”という言葉がある。飽きっぽくて長続きがしないことで、そのような人のことをいうらしい。私もこのタイプである。これを短所としてとらえると、治そうとする努力はたいへんなものである。ああしよう、こうしようと決めたことが3日しか持続できないのだから。

でも、モノは考えよう。3日も続けばたいしたものだ。自分で自分を誉め称えてあげればいい。この要領で成功したのが禁煙である。

数年前、38年吸い続けてきたタバコをやめることができた。やめたい要因はあった。愛煙家を無視した異常な値上げと、外出時に喫煙できる場所がどんどん狭まれる理不尽。<試しに吸わないでみよう。目標は4日以上>と決めてみた。

以後、1本も吸っていない。禁煙のメリットはあった。からだにやさしく経済的。また、それ以上に<できないと思っていたことが3日を超えてもできた>というヘンな自信がついた。

 

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これがいいと思い続けてきたことが、実は悪いことだったら修正は早いほうがいい。
生活習慣病なども、長年楽しく続けてきたことが、いつのまにか からだの細胞を錆びさせて、生命を削ることにもつながる。その判断は自分でするしかないが、飽きっぽい人が(自分に)合わないことを無理して続けるとストレスを招きかねない。

それでも、楽するためだと思えば労力を惜しまないはずだ。後が楽になるなら、そのための時間をかけても、ショートカットするための追求ができる。
普段の何気ないことの改善やアイデアに知恵を絞ることは楽しい。パズルのようで、きっとどこかに答えがある

仕事のできる人とは、“仕事を変えていく人”なのかもしれない。そのためには自らの勘に頼る必要もあるだろうし、逆算の感覚も養える。

 

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飽きっぽい人はお調子者にも見られがちである。本当の意味でのお調子者とは、合理的な頭脳の持ち主なのだという。図々しさにしても、人生を意欲的に活きようとする証といえよう。

<強い好奇心を持ち、すぐに行動へ移す>というのは、気力もパワーも必要になる。ふつうの人はなかなか続けられないかもしれぬ。なのに飽きっぽい人は、自分が興味を抱いたものには、とことん集中してとりかかる強い精神力があるのだ。

飽きっぽいからこそ、失敗や挫折の立ち直りが早いし、気持ちのリセットがしやすい。新しいことを学んだり、吸収したりするのが好きなため、様々なことに興味を持って、失敗しても引きずらない。

現役時代の長嶋さんがそうだ。長嶋さんは飽きっぽくはないが、エピソードがおもしろい。ある時期、内角球を打ちあぐねていた。それを克服するために、バッティングフォームにこだわらず、根本まで長く持ち構えていたバットのグリップを、相手投手の投球と同時に手を緩めスルスルと短く滑り落とした。グリップを短くして、内角球をバットの芯でとらえるためである。

普通“できない”と思われていることをやってのけるパワーがものすごかった。逆境にあっても、常識の枠を飛び超える発想があれば競争に勝ち残ることができる。

 

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福沢諭吉さんはアメリカから帰る船のなかで、下船したら食べたい物を日記帳に書き綴った。<鰻(うなぎ)>、<ゑだまめ>、<わさび花鰹節>、<飯>。

帰国してそれらを口にしたとき、おいしかったに違いないはずだ。それでも、船のなかで夢みていたときのほうが美味だったような気もする。<夢想はときに、最高の調味料>ともいわれる。それは、外国の料理に飽きていたときだったからだ。

アラスカ先住民の創世神話で、北方に生息するワタリガラスが、この世を創った不思議な魔力を持つ鳥だといわれている。

初めに苦しみや醜さのない幸福な世界に仕立て上げた。しかし、ワタリガラスはその完璧さに飽き、世の中を不完全なものに作り替えたそうだ。この世に完璧なものはない。そのために幸福を追求する。そういう示唆に富む神話であろう。

いろいろな話にも根底に“飽きる”という機能がある。飽きっぽい人ではなくても飽きる体質が、どんなことにも潜んでいるらしい。

 

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2014年に日本を訪れた外国人が1340万人に達した。初めて1千万人を超えた前年より3割増である。その経済効果は大きい。外国人が滞在中に落としたお金は、昨年1年間で推計約2兆円。<日本人1人の平均的な年間消費を、外国人10人足らずの来日でまかなえる>との試算まである。

今や外国人抜きには地域も企業も成り立たないありさまだ。外国人の団体旅行の定番は、富士山をはさんで東京~大阪間のゴールデンルートだが、旅行者の“飽き”がこないようにと、旅行業者と自治体が新たな広域周遊コースを売り込むことも始められた。

外国人の買い物で消費税の免税対象が食料品や日用品にも広がったため、地方の特産品を売り込みやすくなったが、この秋の(中国の)連休で、中国人観光客による(定番だった)“爆買い”が鳴りを潜める兆候も現れ、アテにしていた日本のショッピングモールには在庫が山になっていた。

それぞれのお国事情もあるが、旅行者の“飽き”が加われば、財布の紐もきつくなるのは当然のこと。

伝統的な日本の風情への関心、私たちが見慣れている日常の風景、外国人に人気のアニメゆかりの地など、ひとたび注目を集めると、ソーシャルネットワークサービスを通じた口コミで一気に広がっていく。

そして、外国からわざわざ足を運んで来てくれているが、(訪日観光を引っ張る)アジアの人たちも、豊かになるにつれて、お決まりの旅行では飽きたらなくなってくるはずだ。“飽きっぽい人たち”と想定して、日本もこの先の対応に心がける必要がありそうだ。