日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

プラスチックのたどり着く先

 

曜日別の家庭ごみを見て思うのは、プラスチックごみの容量がどんどん増えているようだ、ということ。家族が多いときは生ごみもよく出たが、今はごみの大半がプラスチックなのではないかと思えるほどだ。

プラスチックの主成分は、高分子(ポリマー)と呼ばれ、長く連結した鎖状の分子でできているという。1926年にドイツのスタウディンガーが、この高分子の正体を初めて発見した、とある。それほど遠い昔の話でもなさそうだ。

プラスチックの前身とされるシェラックは天然樹脂の一種で、アカシヤに寄生する昆虫から抽出された工業材料であった。このシェラックはフェノール樹脂の後、ポリ塩化ビニルが出現するまで、レコード盤に用いられていた。アナログ時代の音楽メディアは、プラスチックとともに成長してきたというのがおもしろい。

プラスチックの歴史として、ポリ塩化ビニールが1835年、ポリスチレンが1839年に、それぞれフランスのルノール、ドイツのジモンにより発明されている。

 

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1870年には草分け的存在であるセルロイド(半合成プラスチック)が、アメリカの印刷工のハイヤット兄弟により、成形できるよう工業化された。セルロイドの出現はビリヤードの玉に使われ象牙不足をも救ったようだ。またイーストマン・コダック社により、映画用のフィルムに用いられた。

アメリカのベークランドが、ベークライトの名前で有名なフェノール樹脂を、1909年に工業化し(発明は1872年)、電話機やカメラのボディに活用された。日本も、ベークランドの親友であった高峰譲吉博士を通じ、その5~6年後には国産化された。

第二次大戦前にわが国では、ベークライトやセルロイドに関して、人造絹糸と並んで世界のトップレベルの地位を占めていたそうだ。

1930年にポリスチレン、1934年には(飛行機の風防で有名な)アクリル樹脂が工業化された。1938年にはナイロンがデュポン社のカロザースと230名のチームにより発明。
「NYLON」の命名由来は、5人の主な研究スタッフの夫人のイニシャルからとされ、1941年に工業化となった。

 

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世界の海で、大量のプラスチックごみが見つかったのは1990年代なのだという。
プラスチックごみがいったいどれくらい海に漂流しているのか、研究者たちはその範囲と量を調査してきた。

2014年、科学誌『PLOS ONE』が調査結果を出した。世界中の海に捨てられ漂うプラスチックごみは大小5兆2500億個、重さにして26万9千トンと推定。

各地の海で実施された調査は、船で網をひき、プラスチックごみを集めるというものであった。得られたサンプルデータをコンピューターにて推定値をはじき出すと、プラスチックごみの中で最も多かったのは廃棄された漁網とブイ(浮標)。

海洋汚染防止活動をしている非営利団体「5Gyres Institute」では、漁船に対して漁網回収の費用を払うような国際的な仕組みがあれば、プラスチックごみの減少に役立つだろう、と指摘する。

 

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しかし、プラスチックのボトル、歯ブラシ、袋、おもちゃ、その他海に放棄されたごみの問題は残る一方である。このようなごみは潮流や波の中でぶつかり合い、太陽光にさらされて砕けやすくなり、粉々に砕けて小さな粒となって、遠くへと広がってゆく。

砂粒サイズのごみを探していた調査チームは驚いた。それは、予想していたサンプル数よりずっと少なかったからなのだ。予想の100分の1しか見つからなかったという。
微粒のプラスチックが消えているという事実は、決してよいニュースではないという。

細かな粒となったプラスチックごみは、海中に流れ込むか海洋生物に捕食されるのではないか、という想定があった。

<海洋のプラスチックごみがあまりに多いということははっきりしているし、比較的新しく地球上に登場した物質のごみは極めて大量であり、プラスチック製品に関する現行の管理方法では、(経済的にも生態的にも)持続不可能だ>との見解もある。

 

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プラスチックは目障りな汚れをもたらす以上に厄介な問題となりうる。それはPCB(ポリ塩化ビフェニール)その他の汚染物質の毒性とくっつきやすいためだ。

そして、研究者たちが関心を持って取り組んでいるのは、これが魚や他の有機生物に捕食され、その毒性が体内に吸収され、その生物がさらに他の生き物に捕食されるという“食物連鎖”なのだという。

<プラスチックは海の生物界に漂う汚染物質のカクテルのようなもの>ともいわれる。
そして、<これらの汚染物質は食物連鎖で濃縮され拡大してゆく>のだそうだ。

小さなプラスチックごみはどこに行くのだろうか? 海中か、それとも海岸に漂着するのか? あるいは海底に沈むのか? 海面だけでなく、さらなる研究が必要になるのだ。

(プラスチックを作り出した)人間が、こうした流れを断ち切らない限り、小さなプラスチックごみは常に海に流れ込んでいく。こうした動きに、プラスチック業界団体や全米科学工業協会は声明を発表した。その内容は、<ごみとして捨てられるプラスチックはいかなるものであれ海洋環境には入れない>というものである。

余談であるが、<人類が滅亡しても、海や陸地にプラスチックがあふれている。その光景こそが、かつて人類が存在した証(あかし)である>などと、ならぬことを祈りたい。

 

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