日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

暑いからこそ凌ぐコツと知恵

 

毎年繰り返す猛暑には、冷たいビールや氷で冷えた酒類が定番だった。しかし、この夏はアルコール以外の飲料水がおいしく感じる。体内で水分を要求するからなのであろう。

熱中症で搬送される方が続出している。亡くなられた方も多いようだ。
今のところではあるが、私はまだ熱中症の体験がない。外での仕事のときは、暑いと自然に水分を多めにとっていたから、それがよかったのかもしれない。

熱中症という言葉に馴染みが少ない。子どもの頃から、真夏といえば日射病や熱射病であった。いつから熱中症が出始めたのだろう。

10年前くらい、炎天下の過酷な現場で、屈強な作業員たちがバタバタ倒れた。そのときは熱中症といっており、耳新しさを感じたのを覚えている。それでも緊急搬送されることはほとんどなかった。そのときと今では暑さの“質”のちがいがあるからであろう。

 

1294

 

生まれた直後からエアコンの効いた部屋で育てられると汗腺が発達せず、体温調節がうまくできないため、熱中症になりやすいとの話を訊いたことがある。たしかに、エアコンに慣れると外の暑さの対応がおかしくなり、汗が異常に多くなったりする。

かといって、必要なとき以外エアコンを使わないでいると、使わないために熱中症に陥るケースも増え続けている。生まれたときにエアコンがなかった世代の方は、暑くてもエアコンなしでなんとかなる、との気持ちであろう。また、<自分がまさか熱中症になるなんて思わなかった>のではないだろうか。

高校球児が熱中症を起こしにくいのは、「小さいころからスポーツをやっているので汗腺数は正常だから」といわれることもある。かつて、炎天下で運動してもコーチや監督は「水飲んじゃいけない」と怒った時代さえもあった。無事だった選手も多いだろうが、やはり<今の暑さは昔の暑さと“質”がちがう>ことを肝に命ずる方が懸命であろう。

 

1295

 

巨人・原監督の父親である原 貢(はら みつぐ)さんは、守備に重点を置いた厳しい指導を行う一方、(根性論が先行する)1970年代の指導者にしては珍しく、練習中の水分補給を認めたり塩を舐めさせたりするなど、進歩的な考えも併せ持っていたという。

今ではこの指導法もあたりまえになっていることだろうが、45年先くらいにも通用する<進歩的な暑さの凌(しの)ぎ方>を今現在考えていかないと、熱中症はいつまでもおさまらないだろう。

エアコンを使わねば自宅で熱中症になり、使ってエアコン漬けになれば、外で熱中症になりやすくなる。おまけに、エアコンの影響と思われる夏風邪も増えている。
もはやエアコンで冷やすだけでは“能がない”のである。

 

1296

 

最近は機能性下着も増え、夏になると“冷感Tシャツ”などが着用されている。
わが家の冷蔵庫には、頭に巻いたりして冷やすものや、首や目を冷やすためのもの、
氷枕のように冷やして枕に巻くもの、などの冷却グッズが冷えて待機している。

私はほとんど使わないが、寝苦しい真夏の夜に冷蔵庫を開けて、そういう冷却グッズを見つけたら、助かったとばかりに手を伸ばすこともあるだろう。
こんな感じで、冷蔵庫でいくつかの冷却グッズを見つけても今さらおどろかないが、ドリンクホルダーから自分の“冷やしパジャマ”が出てきたらビックリである。

そんな商品が現実にあるという。
グンゼが開発した『ラディクールパジャマ』なのである。

ラディクールという合成繊維自体は、15年ほど前からあるそうだ。蒸れにくい特性から、食品の鮮度を保つフィルムや手術用の手袋に使われてきた。さらに、糸にして生地をつくったら、冷感素材として使えることもわかってきたという。

 

1297

 

<人間はどうして『冷たい』と感じるのか>との疑問から、その合成繊維に結びついたという。

例えば金属に触ると、冷たいと感じることがある。これは金属側に手の熱が移動しているからである。この熱を奪う力を「熱伝達性」と呼び、それが大きければ大きいほど、触ったときに“冷たい”と感じる。ラディクールは、熱伝達性が綿のおよそ2倍あるのだという。

たまった熱を逃がす力は「熱伝導性」と呼ばれる。ラディクールは熱伝導性も高く、肌に触れているときには熱を奪い、離れたときはたまった熱を逃がせる。何度も繰り返し、冷感を持続できるそうだ。

冷やしパジャマで快眠できるかどうかの実験も、男性10人(平均年齢23歳)を対象に行った。世界的にも珍しいため、世界中の研究者から注目されたという。

着用直前まで冷蔵庫で冷やして着用。高温多湿の特別室で2時間寝てもらい、背中の温度や腰まわりの湿度を測った。睡眠中に、脳波・皮膚温・衣服内温湿度・寝床内温湿度を測定。加えて、温冷感・眠気・睡眠感・パジャマの着用感について心理評価を実施。そして、好結果が報告されている。

冷蔵庫で冷やして涼むパジャマ。これを普段着にも応用できたらおもしろそうだ。車の長距離ドライブでは、クーラーボックスで着替えを冷やすこともできそうである。ひとつの成功から、いくつもの選択肢や可能性がみえてきそうなのである。